日本での無呼吸症候群総患者数は推定2000万人以上とみられる。血管を傷つけ突然死を招く、がんに並ぶ恐ろしい国民病で、放置すると重症化死亡率37%ともいわれている。著書「いびき、無呼吸症候群に殺されない27の方法」(青志社、発売中)を刊行した心臓血管外科医で無呼吸症候群専門医の末松義弘医師がその恐ろしさを伝えた。

 末松氏は心臓外科医として30年近く働いてきた。その中で、急性大動脈解離の緊急手術や心房細動の血栓が招く脳梗塞予防の心臓手術などを手掛けていると、「この患者さんはなぜこんな病気になったのだろう」と疑問を持っていた。

「自分の患者さんに睡眠時無呼吸症候群が多いようだと気づき、積極的に検査するようになった結果、多くの患者さんが無呼吸症候群を合併している事実を確認できたのです」と末松氏。

 無呼吸、つまり睡眠時無呼吸症候群は寝ている時に、眠っているからこそ起こる病気だ。だから、自分は無呼吸症候群にかかっていると気づかない人が多いという。

「この病気がなぜ怖いかといえば、病気という実感がないままに放置され、死に至る数々の合併症を招くケースが多いからです。睡眠時の無呼吸は心血管系に大ダメージを与え、心不全、心筋梗塞、心房細動をはじめとする心臓の病気、高血圧や動脈硬化、大動脈瘤、大動脈解離など血管の病気、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血など脳の病気の引き金となりえます。どれも命に関わる深刻な循環器病ですから、私は『無呼吸症候群は循環器病だ』と口癖のように言っています」と末松氏。

 それだけではなく、糖尿病、がん、認知症、EDなど、さまざまな病気が睡眠時無呼吸によって起こっている証拠が続々と報告されているという。

 末松氏は「睡眠トラブルを抱えるみなさんには、無呼吸症候群への理解を深め、くれぐれも警戒してほしい」と指摘する。

 著書では、無呼吸症候群の予防や発見、そして〝よい眠り〟について詳述している。

 また、末松氏は来春、日本で初の循環器と無呼吸症候群の専門病院「国際ハート・スリープクリニック」開院に向けて準備中だ。