2024年パリ五輪代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC=15日、国立競技場発着)、男子の川内優輝(36=あいおいニッセイ同和損保)が〝主人公〟ばりの走りで沿道を盛り上げた。

 レース前日に読んでいた漫画「奈緒子」をイメージし、序盤から飛び出した。スタート前から雨が降りしきる中でも、百戦錬磨のベテランには関係なし。35キロ付近まで独走を見せ、後続に吸収された終盤も最後まで粘り抜いた。2時間9分18秒で4位に入ったが、大迫傑(ナイキ)とのデットヒートに敗れたことが心残り。「パリよりも何よりも大迫選手に勝ちたいと思っていた。35キロまで先頭を引っ張っていたので、そこでやや満足してる部分があったかもしれないが、自力というか、思いの差が出てしまった」と悔しさをにじませた。

 大逃げは周囲の煽りがきっかけだった。「会う人会う人、コーチや選手に『飛び出すでしょ?』って。じゃあ『飛び出してやろう』って」。レース前の段階でフルマラソンを129回完走。誰よりも熟知しているからこそ、あえて突っ走った。「多分(選手の)半分ぐらいは勇気がなくて、私についていくのが怖かったと思う。もう半分ぐらいナメてたんと思う。ロードみたいな選手はどうせ落ちてくだろうって」。抜群の経験値を参考に、他選手を混乱に落とし込んでみせた。

 自分の存在を十二分に発揮したレース。だが、満足はしていない。「大迫選手に勝っていれば表彰台だった。結構表彰台は好きなんですよね(笑い)。4位ってなんかすごい嫌な順位だなと思う」。自らの伸びしろを信じ、これからも挑戦を続けていく。