【森脇浩司 出逢いに感謝(5)】2014年の日本ハムとのCSファーストステージ第2戦、4番・T―岡田は8回に逆転の3ランを放った。カウント3ボール1ストライクから谷元圭介の低めのストレートを右翼席中段まで運びました。

 僕は気がかりなことがあった。それまでの打席でまったく同じカウントになり、打てのサインを見送った場面があったんです。バッティングカウントで待ってる球種が来たのに振らなかったので、そのネガティブなマインドはよくない。そこを強めに指摘したんです。

 これからもっと大きな試合があるのにチームの中心選手としてよくない。すべてを振れと言ってるわけではない。凡打したらどうしようとか、そこに引いた気持ちがあったと感じた。これ以上ない局面で自分を信じろと…。今度はしっかり踏み込んでスイングしてくれた。あの本塁打でもう1つ、彼は階段を上に上ってくれましたね。

 台風で中止を挟んで1勝1敗で迎えた第3戦は1―1の延長10回、中田翔に勝ち越しの本塁打を許し、1―2と惜敗。2014年の夢は途絶えました。「10・2」は始まりでもあったけど、この日で今季が終わったということを受け止めなければいけない。悔しい思い、むなしさはあの日と同じ。あの時誓ったソフトバンクへのリベンジができなかった…。

 岡田彰布監督の後を引き継ぎ、京セラドームを満員にしたいというのが夢であり、目標だった。CSに出場し、第2戦のT―岡田の逆転3ランには鳥肌が立った。もう1回、この満員のファンを福岡に…という思いと、京セラを満員にできたという思いが同居した感じでした。

 勝たなきゃ意味がないとはいうものの、モノには段階がある。この年に達成しなきゃいけない最低のラインはクリアできたのかな。もっと前に進むための第一歩だった。あのホークスとマッチレースになり、最後まで試合ができた。42・195キロのフルマラソンというのはこういうもんだ、と実体験しなきゃいけなかったんです。

 これは現場だけじゃなく、フロントも含めてフルマラソンというのはこんなにハードなんだということが分かった。毎年そのつもりでスタートはしても、35キロ地点で足がつったとか、アクシデントとか、その先がどんな景色か分からなかった。体にどれだけのエネルギー、負荷がかかるとかね。

 オフには大リーグでプレーしていた中島裕之、DeNAを退団したトニ・ブランコ、日本ハムからFAの小谷野栄一、広島にいたブライアン・バリントンを補強。FAのエースの金子千尋も宣言残留し、悲願に向けて戦力が整った。しかし…15年シーズンは彼らが序盤から次々とケガで戦列を離れ、まさかの事態になっていきました。

 5月が終わった時点で借金15。何とか盛り返そうと、巨人との交流戦で東京に入った6月1日の夜、1本のメールが入った…。