東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡って、中国における反日感情の高まりがサッカー界にも飛び火して波紋を呼んでいる。中国からの嫌がらせ電話などが問題視される中、26日に行われたサッカー中国1部の青島―長春戦でサポーターから日本を侮蔑する不穏なコールが発生。サッカー界でも反日ムードが高まっており、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)のアウェー戦に向けて懸念が出ている。
処理水の海洋放出が始まって以来、中国発とされる日本への嫌がらせ電話が多発し、日系企業製品の不買運動、日本大使館や日本人学校への投石など中国での反日感情が深刻化している。
そうした動きが、ついにサッカー界へと及んだ。中国メディア「直播吧」は「日本の〝核廃水〟の海洋放出に抗議するため、青島のファンが中国スーパーリーグでスローガンを叫び不満を表明した。長春戦の開始前に『××小日本』と叫んで不満を表した」と報道。「小日本」とは、日本や日本人に対する中国語の蔑称だ。
この一件に関して中国では詳細まで触れられていないが、韓国メディアが次々と報道。同国放送局「MBC」は「中国プロサッカーのスタジアムで、観衆が突然日本人に対する敵意を込めたコールを叫んだ」として、そのコールは「小日本を殺してしまおう! 小日本を殺してしまおう!」だったことを伝えた。
同国メディア「ニューシス」も「中国人の反日感情が沸き立っている。観衆が日本の〝汚染水〟放流に抗議し、日本を侮辱するコールを叫んだ。小日本という表現が登場するのは、2012年9月に日本政府が尖閣諸島を国有化したことで、中国で反日デモが全国的に拡大して以来だ」と指摘。日本に対する差別用語が、本来政治を持ち込まないはずのスポーツ界で、しかも中国サッカーのトップリーグで公然と大合唱されたことに大きな衝撃が走っている。
日中関係の緊張が高まりを見せていることで不安視されるのが、9月に開幕するACLだ。コロナ禍による制限がなくなり、今季は1次リーグからホームアンドアウェー方式が再開。日本勢は中国勢と、G組で横浜Mが山東、H組で甲府が浙江、J組で浦和が武漢とそれぞれ対戦する。
だが現在の緊迫した状況に出場クラブ関係者からは「安全の確保は大丈夫なのか。中国では不測の事態が起きてもおかしくないので心配だ」と不安の声が漏れている。
過去には、04年にアジアカップが今回と同様に反日騒動が激化する中で中国で開催され、中国人ファンが暴走。日本代表の選手バスが取り囲まれたり、日本人サポーターや報道陣への投石、決勝後に原田親仁駐中国公使の公用車が襲撃されるなど事件が続発した。そうした経緯もあり、現状で中国での試合は「危険」と懸念が高まっているのだ。Jリーグ勢にとって中国での試合は最大の試練となりそうだ。









