〝ビッグモーター御殿〟はどうなるのか――。 保険金不正請求を皮切りに次々と問題が発覚している中古車販売大手ビッグモーターで、トップに君臨していた兼重宏行前社長が都内一等地に大豪邸を構え、巨万の富を築いていたことは想像に難くない。同社は今後、ジリ貧に陥る事態が予想される中、兼重氏の〝金庫〟が開かれるかが注目されている。
代官山駅から徒歩10分。各国大使館が並び、眼下に桜で有名な目黒川を臨む高台に要塞のようにそびえたつのが〝ビッグモーター御殿〟といわれる兼重氏の住まいだ。ソニー創業者の一人である盛田昭夫氏の自宅があった場所で、四方を高さ約5~8メートルの巨大な石垣で囲まれ、中の様子をうかがうことはできない。
1200平方メートルの広大な土地に建つ屋敷は地価だけでも20億円超と試算される。しかし、この御殿も正確には兼重氏ではなく、株式会社ビッグアセットが保有している。ビッグアセットは兼重氏と息子で副社長だった宏一氏が役員を務めるビッグモーターの資産管理会社で、ビッグモーターの株式を100%保有している。
ビッグモーターの不祥事が発覚後、兼重親子は役職を辞任し、経営から離れると表明している。しかし、株を保有していることで、実質的に同社を支配している形は変わっていないと指摘されるのは、このスキームがあるからだ。
今後、ビッグモーターには行政処分や刑事責任も及ぶ可能性が高く、既に客離れを起こしており、年商7000億円から一気に窮地に陥るのが明白の中で、兼重親子がどのようにタッチしていくかが会社の命運を握る。
「会社を立て直すのは至難の業。運転資金が底を尽きる前に兼重親子が資金を注入するかが一つのポイントになる。見捨てる場合もあるだろうし、売却という手もあるが、この状況で買い手が現れるとは思えない。その場合は会社は風前のともしびになるでしょう」(経済アナリスト)
元ビッグモーター幹部で、兼重前社長をよく知るユーチューバーの中野優作氏は堀江貴文氏とのユーチューブ対談で「(兼重前社長が)ここから手放すのはちょっと想像がつかない。絶対、詰んではいるが、裏でファンドと話をしているようなイメージはない。なんとしてもやりきるつもり。なんとかなると思っている」と指摘し、何らかの形で、同社の再建に乗り出すとの見方を示している。
一方、ビッグモーターに巨額の損害賠償請求が起こされた場合、ビッグアセットはあくまで資産管理会社で、その責任は限定的との見方が大勢だ。ビッグアセットが保有している大豪邸や軽井沢、熱海にある別荘も無傷で済むというわけだが、前出のアナリストは「兼重親子の経営責任が問われた場合はビッグアセットと関係なしに追及され、賠償責任が出てくる可能性はある。その際は資産を切り崩す必要は出てくるでしょうし、豪邸に住み続けるとなれば世間の風当たりは強くなる一方でしょう」と指摘する。
ビッグモーターは「環境整備点検」と称し、店舗に枯れ葉一枚でも落ちていれば、店長を降格処分にしていたというが、本丸である〝ビッグモーター御殿〟は、掃除が行き届いていないのか、玄関先にゴミや枯れ葉が目につくありさまだった。栄華を誇った兼重氏の牙城は、死守されるのか、それとも崩れ落ちるのか――。













