〝強行出場〟の理由とは? 大相撲名古屋場所12日目(20日、愛知県体育館)、再出場した元大関の幕内朝乃山(29=高砂)が幕内翔猿(31=追手風)をすくい投げで下して5勝目(4敗3休)を挙げた。今場所は7日目の取組で負傷。「左上腕二頭筋部分断裂、4週間の局所安静を要する」との診断書を提出して8日目から休場していた。

 この日は左腕にテーピングを施すなど、万全の状態からは程遠い。それでも、あえて出場に踏み切った理由は何か。かねて朝乃山は自身を応援してくれるファンのために土俵に立ち続けてきた。その思いは、今も変わらない。しかし、今回の再出場に限っては「考えれば考えるほど(再出場の)〝答え〟ではなかった。お客さんのためではなく、自分のために出ようと思った」と言い切った。

 その〝真意〟について、朝乃山は次のように説明する。「自分の人生だし、自分で決めたことなので。無理してほしくないとか、完全に治してから出てほしいという意見もあるけど、出ることによって得られるものがある。(千秋楽まで)休場すれば、本場所の感覚もなくなってしまう。せっかく(東前頭4枚目まで)番付が戻って、少しでも下げたくない。1勝でも2勝でも勝ちたい」

 朝乃山が逆境の中でたどり着いた「自分のため」という境地。今後に向けた転機となる可能性もありそうだ。