誰が最後に笑うのか。大相撲名古屋場所10日目(18日、愛知県体育館)、大関取りに挑む関脇3人が明暗を分けた。大栄翔(29=追手風)は昇進の目安まであと3勝に迫る一方で、豊昇龍(24=立浪)と若元春(29=荒汐)は手痛い黒星を喫した。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は3関脇の相撲内容を分析した上で、終盤5日間の行方を占った。

 大栄翔が幕内平戸海(境川)を下し、大関取りの目安とされる「3場所33勝」まであと3勝とした。得意の突き押しで攻め込むと、最後は突き落としを決めた。秀ノ山親方は「3人の中では一番、相撲内容にブレがない。自分の相撲を貫いているから、負けても次の日につながっている。誰より経験が豊富だし、その強みが終盤で生きてくるはず」と期待した。

 その一方で、豊昇龍は過去10勝1敗の小結琴ノ若(佐渡ヶ嶽)に痛恨の黒星。残り5日間で4勝が必要となった。もろ差しを許して後退すると、土俵際の抵抗も及ばずに押し出された。秀ノ山親方は「本来の思い切りの良さがなかった。勝ちたいという欲が出てしまって、肩に力が入っていた。もっと気持ちの強さを前面に出してほしい」と注文をつけた。

 若元春も、幕内阿武咲(阿武松)に一方的に押し出されて完敗。終盤は1つも負けられなくなった。秀ノ山親方は「これまで勝ってきた相撲では得意の左四つの強みが出ていたけど、ちょっと硬くなっている印象。そうなると、持ち前の柔らかさを生かせずに、左四つに組み止められなくなってくる。その点を、もう一度見直すべきでは」と指摘した。

 残り5日間となった大関レースは大栄翔が先頭に立ち、豊昇龍が1差、若元春が2差で追う展開。数字上は、まだ3人全員にチャンスが残されている。秀ノ山親方は「どこまで〝自分らしさ〟を出せるか。ここで小手先の相撲に走れば、最後の最後で裏目に出る。自分の相撲に自信を持って、戦い抜いてほしい」とハッパをかける。

 さらに「ここまできたら、それぞれが腹をくくってやるしかない。誰に勝っても、同じ1勝。大関に上がれば、もっと緊張感があるし、今以上に負けられない戦いになる。それを乗り越えるための試練」と先輩大関の立場からアドバイスを送った。果たして、最後に看板力士の座を手にするのは誰なのか。残り5日間の戦いから目が離せない。