「寝酒を飲まないと眠れない」という酒好きの何と多いことか。家飲みを止める前の私もそうだった。だが、寝酒を止めて気づいたことがある。それは睡眠の質がはるかによくなったこと。善かれと思って飲んでいた寝酒だが逆効果だったようだ。

 睡眠は浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠の2つで構成されている。さらに眠りの深さによって4ステージに分けられ、中でもステージ3、4まで到達する深い眠りは「徐波睡眠」と呼ばれる。酒を飲むと入眠までの時間が短縮され、徐波睡眠が増加する。これだけを聞くと、寝酒は良さそうに思うが問題はここから。アルコールの反跳性作用によって、ノンレム睡眠から切り替わった後のレム睡眠が長く続き、中途覚醒が起こりやすくなってしまうのだ。

 確かに酔った状態で寝ると寝つきはいいが、必ずと言っていいほど夜中に目が覚める。その元凶こそが、アルコールの分解時に生成されるアセトアルデヒドだ。アセトアルデヒドは交感神経を優位にし、睡眠時における脳の休息を阻害する作用がある。これが中途覚醒の大きな原因になっているのだ。さらに怖いのは寝酒が習慣化し、中途覚醒が増えると、さらに酒の力に頼ろうとしてしまうこと。こうなるとアルコール依存症になるリスクが途端に高くなる。

「寝酒が睡眠をもたらす」というのは単なる思い込みに過ぎない。私自身、寝酒を止め、つくづくそう感じた。ぐっすり眠る方法は実に簡単。それは早寝早起きを習慣化させ、昼間よく動くこと。家飲みを止めてから朝5時起床、夜22時就寝を基本とするようになった。飲み会があれば午前様になることもあるが、遅くとも8時には起きるようにしている。多少の誤差はあっても、生活のリズムを崩さなければ不眠になりにくい。習慣化している人にとって、寝酒を止めるのはちょっと勇気がいるが、やってしまえば「あれ、こんなもんか?」と思うほどラク。質のいい睡眠のためにもトライしてみて欲しい。