チャレンジの成果が垣間見えた。陸上のセイコー・ゴールデングランプリ(21日、日産スタジアム)、女子1500メートルは田中希実(23=ニューバランス)が4分11秒56で優勝し、日本記録保持者の底力を見せつけた。

 狙い通りのギアチェンジだった。序盤はスローペースで集団の好位置をキープ。残り2周で2位まで順位を上げ、最後の1周でトップに立った。「ラスト1周でいかに上げられるかをテーマにしていた。走りに集中した結果、勝てたことはすごく自信につながる」と収穫を得た様子。そして「自分から動かすことが、これから海外に出ていく上で必須」と強調した。

 田中の強さを支えるのは、型破りの挑戦だ。昨季は本職の中距離種目だけでなく、400メートルのレースにも出場。その意図について、以前こう説明していた。

「ラストに差し掛かった時に(脚が)動かない中でも、動かすことであったり。その時に余裕さえあれば、今から400メートルを1本スタートするぐらいの気持ちで走るとなった時に、400メートルのイメージを自分の中に下ろしてくるようなことはできている」。そして「最後まで駆け抜けるイメージは、そこでつくれたと思っている」と手応えを実感している。この日のラスト1周も、400メートルのレースを想起させるようなスパートだった。

 それでも、田中の追い求める基準は高い。「(レースを)動かすことはしっかりできたけど、自分から動かしても負ける可能性もあるぐらい今日は(脚が)止まってたかなと思う。今後は駆け抜けられる力をつけたい」。世界に通用するランナーへ、貪欲にレベルアップを目指す。