陸上女子の田中希実(23=ニューバランス)は、一つの殻を破ったようだ。

 3月末に豊田自動織機を退社した田中は、4月からプロとしての活動をスタート。新たな一歩を踏み出した一方で「ラストスパートをしたいけど、『勝ちたい』とか『相手が怖い』という気持ちが先走って、最近は前に出られるはずなのに、出られなくて、勝機を逸してしまうことばかり繰り返してた」とメンタル面で苦しい時期を過ごしていたという。

 しかし、21日に日産スタジアムで行われたセイコー・ゴールデングランプリの1500メートルでは、ひと皮むけた姿を披露した。序盤はスローペースで集団の好位置をキープし、残り2周で2位にまで順位を上げる。最後の1周はギアを入れ替えてトップに立つと、粘る海外勢を振り切った。

 レース後にはメンタル面を自己分析。「やっぱりそのまま中途半端な気持ちで臨んで負けたり、タイムが出ないというのを繰り返した中で、中途半端な気持ちがダメとなった時に、練習に自信が持ちきれなかったところが一番要点かなと思っていた」と回想した上で、改善策をこう明かした。

「他人の評価だけじゃなくて、自分でも自分を評価できるような練習を心がけた。誰がどう見ても良い練習をしてもすごく自分に厳しいからこそ、なかなか良かったとは思えなかった。今日はまだ自分の中では合格点の練習は積めてきたので、だからこそ、ここで勝てなかったら勝てないと思うぐらいの気持ちで臨むことができた」

 自分に自信を持つことで、弱い自分に向き合い、強くなるために必要なことを見いだした田中。来夏のパリ五輪に向けて、一つずつ課題を潰していく。