“北区統一”は誰が成し遂げるのか――。東京・北区長選(23日投開票)は6選を目指す現職の花川與惣太区長(87)に元自民党都議で、自民党、公明党、日本維新の会が推薦する山田加奈子氏(51)、元北区議の駒崎美紀氏(44)、共産党と社民党が推薦する飲食店経営の橋本弥寿子氏(70)の無所属の女性新人3人が挑む構図だが、裏切り裏切られる仁義なき戦いの様相を呈している。
北区の選挙が波風立たないワケがなかった。口火を切ったのは区長選にいち早く名乗りを上げた元「光GENJI」メンバーの大沢樹生(54)が、選挙直前に花川氏と手を結んだことだ。
花川氏から会談の席で「俺にはまだやり残したことがある。6期目を集大成にしたい」と熱意あふれる言葉を聞いた大沢は、「年齢はただの数字だと思っているが、行政に対する信念と区民への思いがすごい」と感服。政策を受け入れてもらうことで、身を退く決断に至った。
大沢は花川陣営で、選対本部の統括に就任。花川氏をもり立てる役回りに徹する姿に大ヒット仁侠シリーズ「日本統一」で大沢が演じた鶴見組長を重ねる支援者も多く、「花川区長に再び“北区統一”してもらって、大沢さんがそのまま区政でも支えてほしい」(陣営関係者)。いずれは跡目を継いでもらいたい期待も膨らんでいる。
大沢の花川陣営への合流直後に動いたのは日本維新の会だ。同党の音喜多駿政調会長(39)は4年前の同区長選に出馬し、花川氏に敗れた過去がある。
もともと北区が地盤で、都議時代から自民党・公明党とは、全面バトルを繰り広げていたが、花川区政にストップをかけるべく、「昨日の敵は今日の友」で山田氏の支援に回った。音喜多氏は「禁断の組み合わせ」と自虐し、有権者を仰天させた。
音喜多氏は花川氏の強さを体感しているとあって、「40年間、選挙では無敗の“北区のヒクソン・グレイシー”を倒さないといけない。100歳まで(区長を続け)ギネスを目指すと言っているとか」と話し、高齢批判を軸に今度こそ新風を吹き込もうと躍起になっている。
完全無所属で立候補している駒崎氏は4年前の北区議選で、音喜多氏が代表を務める地域政党「あたらしい党」から出馬し、トップ当選を果たした。夫はNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹会長で、音喜多氏が維新から国政進出したことで、たもとを分かった因縁がある。
「山田氏が出馬表明するまでは駒崎氏が台風の目と予想されており、“駒崎つぶし”で大沢と音喜多氏が共闘するプランもあったほど」(区政関係者)と水面下ではシ烈な攻防が繰り広げられていた。
北区は公明党の牙城で、東京12区となる衆院選では与野党が激しい火花を散らしてきた歴史がある。中間情勢では花川氏が一歩リードし、山田氏、駒崎氏が追う展開になっている。
「残る浮動票がどう動くかがポイントで、花川氏は知名度の高い大沢を引き込んだことで、盤石の体制を築きつつある。3党から推薦を受ける山田氏陣営はどこまで一枚岩となって、花川氏に迫ることができるか」(同)
21日に花川氏は88歳の誕生日を迎え、全国の市区長で最高齢記録を更新する。新人3候補が“北区のグレイシー”に一泡吹かせることになるのか、それとも“大沢親分”が盾となって、立ちはだかることになるのか――。













