参院議員を除名となったガーシー(東谷義和)容疑者(51)に警視庁はネット上で著名人らを脅迫、中傷したなどとして、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)や名誉毀損などで逮捕状を取った。今回、警察は相当力を入れている。一方、ドバイに滞在中とされるガーシー容疑者は音声のみのライブ配信を行い、「一生帰国しないことを覚悟ができた」と宣言。今後どうなるのか。

 警察庁は外務省に対し、ガーシー容疑者へ旅券返納命令を出すよう要請した。旅券が失効すれば、滞在している国では不法滞在となる上、他国に移動できなくなる。返納しなければ、旅券法違反という容疑も加わる。さらにインターポールを通して国際指名手配する方針。警察は徹底的にガーシー容疑者を捕まえるための包囲網を敷いている。

 しかし、アラブ首長国連邦(UAE)の都市ドバイは〝犯罪者天国〟ともいわれている。ドバイ事情に精通する関係者は「国際金融のハブ(中心地)となっているドバイはカネのある人なら素性を問わずに長期滞在ビザ(ゴールデンビザ)を与え、受け入れてきました。ウクライナ侵攻後、西側からの経済制裁を逃れるため、不正蓄財してきたロシアのオリガルヒ(新興財閥)たちが資産を持ってドバイに駆け込んだことは有名です。世界中の金融犯罪者が集まる都市の一つです」と指摘する。

 しかし、近年、世界の汚職・腐敗を監視する非政府組織「トランスペアレンシー・インターナショナル」や世界的な金融犯罪監視団体「金融活動作業部会」などは、ドバイが逃亡した犯罪者の〝安住の地〟となっていることなどを指摘。金融のハブとしてイメージダウンを避けるため、マネーロンダリングの取り締まりや、逃亡犯罪者の身柄引き渡しを行うようになってきた。ただし、身柄引き渡しは、金融犯罪、殺人、誘拐、麻薬売買、テロなどかなり深刻な犯罪に限るという。殺人やテロなどの容疑ではないガーシー容疑者の場合、UAEが日本側に協力する可能性は未知数だ。

 それでも、ガーシー容疑者は動画で背景を隠したり、音声のみの配信を行うなど、慎重になっている。居場所を特定されたら、当局が身柄拘束する可能性を考慮しているのかもしれない。警視庁の逮捕状請求直後、音声のみの生配信で「ちょっと準備してお引っ越しをします、念のためね」と話した。しかし、〝犯罪者の安住の地〟と指摘されたドバイがイメージアップを図っている中、警視庁が本気を出しており、ガーシー容疑者は絶対に安心ではないかもしれない。

 前出の関係者は「危険を察知したとしたら、同じく暴露→海外逃亡のエドワード・スノーデンを参考にするかもしれません」と指摘する。

ロシアにいるとされるスノーデン(ロイター)
ロシアにいるとされるスノーデン(ロイター)

 スノーデン氏は米国家安全保障局(NSA)および中央情報局(CIA)の元局員で、2013年に「NSAが世界中の電話を盗聴し、ネット情報を収集している」と暴露し、連邦捜査局(FBI)が情報漏洩の容疑などで捜査に乗り出した。CIAから暗殺を狙われたとも。米国がパスポート失効手続きをした中、香港経由でロシアに渡航。米国はロシアに拘束を求めたが、ロシアは「介入するつもりはない」と拒否。さらにはスノーデン氏に滞在許可証を発給したばかりか、昨年にはプーチン大統領がロシア国籍を与える大統領令を出した。

〝日本のスノーデン〟を称して、ロシアに引っ越す可能性があるかもしれない。