関東を中心に各地で相次ぐ広域強盗事件で、警察当局は、フィリピンで2019年に36人が拘束された特殊詐欺事件に絡み、現地の入管施設ビクタン収容所で拘束されている渡辺優樹容疑者(38)ら4人の強制送還を要請している。4人に指示役の「ルフィ」や「キム」が含まれるとみられている。

 両政府は来週にも4人を一斉送還する方向で調整していたが、一部容疑者がフィリピンで刑事裁判の被告となっていることが障害になっている。4人のうち藤田聖也容疑者(38)の刑事裁判が棄却されたことが3日、判明した。フィリピンのレムリヤ法相は2人を先行送還する可能性があると発言。この2人は藤田容疑者と既に棄却になった今村磨人容疑者(38)とみられ、先行きは不透明な状況だ。

 ルフィのグループが18年11月から20年6月までに特殊詐欺で奪ったカネは60億円以上だといわれる。しかし、昨年ごろから速攻でカネを奪う強盗にシフトした。

 そこまで急にカネを集めるようになったのは、入管施設職員らに賄賂を渡して逃亡するためと指摘されている。

 元暴力団関係者は「ビクタンにいれば、日本の司法から逃れることはできるが、いい生活をするには毎月10万円以上かかる。仲間に現金を直接持ってこさせたり、職員に賄賂を渡して口座から引き出したりするのはかなり面倒。3年以上も賄賂を吸い取られ続けるのに嫌気が差して、逃亡するためのカネを工面するため、集中的に強盗を指示していたのかもしれない」と言う。

 実際、賄賂によって入管施設から逃亡した例は過去にある。一説には2000万円といわれる。しかし、逃亡しても容疑は消えないので、警察におびえて生活する日々を送ることになる。

 そんな中、フィリピンの入管について、とんでもないウワサが流布していた。

 フィリピンメディア「ABS―CBNニュース」が3日までに「フィリピン上院公聴会で、『100万ペソ(約240万円)から500万ペソ(約1200万円)と引き換えに入国管理局のブラックリストから名前を削除できる』という話がネットで外国人に広まっていることが問題になった」と報じた。

 賄賂によって容疑者リストから名前が削除されるというのだ。収容者もスマホ、パソコンを持っていたので、この話は知っていただろう。容疑者リストから外れれば、逃亡して、のびのびと生活できる。ルフィ、キムもこれを狙っていたのかもしれない。

 ただし、入国管理局の報道官はこれを強く否定し、「入国管理局はそんなことはしない。ネットで広がっているのは、フィリピンに入国したいのに入国できない中国人やその他の外国人の犯罪者を食い物にする詐欺だ。だまされないように」と話している。

 とはいえ、入管施設では、賄賂次第でVIPルームに入れ、スマホを入手でき、通院名目での外出もできる。しかも、逃亡の例もある。ありえない話ではないのか…。