雲散霧消だ。大相撲初場所12日目(19日、東京・両国国技館)、大関貴景勝(26=常盤山)が小結霧馬山(26=陸奥)のすくい投げに屈して痛恨の3敗目(9勝)。今場所は好成績で優勝すれば綱取りの可能性があったが、絶望的な状況となった。一方で、28日に国技館で開かれる宮城野親方(37=元横綱白鵬)の引退相撲では優勝45回を誇る大横綱と新横綱が土俵入りで〝共演〟するプランがあったことが判明。しかし綱取りの消滅で、すべては幻となった。
まさかの急失速だ。結びの一番で貴景勝が霧馬山に投げられて痛恨の黒星。取組後は取材対応せず、沈黙を貫いた。昨年11月の九州場所は12勝3敗で優勝に準ずる成績(優勝同点)。横綱審議委員会は今場所で好成績の優勝を果たせば綱取りもあり得るとの認識を示していた。しかし、前日11日目から連敗で3敗に後退。3日間を残して絶望的な状況となった。
横綱昇進の可否を預かる審判部長の佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)は、大関の相撲内容について「昨日も今日も、足が出ていない。負けられないと思って硬くなっている」と厳しく指摘した。綱取りに関しても「昨日、今日の負け方を見ていると、厳しい」と否定的な見解。仮に今場所で逆転優勝したとしても、横綱昇進は見送られることが確実な情勢だ。
貴景勝の綱取り成功を前提に浮上していた夢のビッグプランも自然消滅となりそうだ。初場所後の28日、宮城野親方の引退相撲が国技館で開催される。その最大の見せ場は、最後の横綱土俵入り。角界関係者によると、同親方の頭の中には太刀持ちに横綱照ノ富士(31=伊勢ヶ浜)、露払いに新横綱となったばかりの貴景勝を従える構想があったという。
過去には2015年5月に先代九重親方(元横綱千代の富士)が太刀持ちに白鵬、露払いに日馬富士の現役両横綱を従えて還暦の土俵入りを披露した例がある。「ウルフ」の愛称で国民的人気を誇った大横綱との〝共演〟には、当時の白鵬も大きな刺激を受けた。今度は自らが土俵の中央に立ち、現役横綱との〝そろい踏み〟が実現すれば、最高の花道となっていたに違いない。
貴景勝にとっても、優勝45回を誇る大横綱との土俵入りは貴重な経験となっていたはずだが…。今場所の綱取りが消滅したことで、すべては水の泡に。もっとも、この日の黒星で貴景勝が綱取りのチャンスを完全に失ったわけではない。先頭を1差で追う立場から逆転優勝を果たせば、来場所へ持ち越しとなる可能性は残されている。
佐渡ヶ嶽親方は「もともと気が強い力士。立て直して大関の責任を果たしてもらいたい」と残り3日間の奮起を促した。完全に勢いを失った一人大関は、ここから看板力士としての意地を見せることができるのか。今後の土俵人生の分岐点となりそうだ。











