大相撲名古屋場所3日目(14日、愛知・IGアリーナ)、大関から陥落した関脇安青錦(22=安治川)が幕内伯乃富士(伊勢ヶ浜)を下して3連勝。今場所で10勝すれば大関復帰となる中、好スタートを切った。2022年にウクライナから単身来日。今もロシアによる軍事侵攻が続く母国では、安青錦が〝希望の星〟となっている。

 安青錦が持ち味の低い攻めで、伯乃富士を力強く寄り切った。取組後は「しっかり当たって、そこから自分の形を作れた。前に攻めて、自分らしい相撲だった」と会心の表情。夏場所全休の要因となった左足首の状態についても「ぼちぼち良くなっている。土俵で相撲を取ることが一番の治療なので」と回復を強調した。

 今場所前には「安青錦後援会」が新しく立ち上げられた。会長にはウクライナ出身で国際弁護士のアレクサンダー・ドミトレンコさん(49)が就任。来日して16年半になるドミトレンコさんは「彼は親しみやすくて、日本が大好き。日本語もすごくうまくて、お互い半分ぐらい日本語で話している」と安青錦の人柄にほれ込んでいる。

 先月7日に都内で行われた大関昇進披露宴には、60人以上の在日ウクライナ人が参加。ドミトレンコさんは「安青錦関が大関になって、ウクライナの人たちはすごく喜んでいる。みんなどうやって番付が上がって下がるのか、大相撲のルールを調べて勉強している」と、母国での注目度の高さを明かす。その上で「もちろん、横綱を目指して頑張ってほしいですね」と大きな期待を寄せた。

 また、22年に同国から来日し、現在は都内の高校に通うミロノフ・へオルグさん(16)も「みんな安青錦関のことを誇りに思って応援している」と熱弁。今年3月には一緒に食事をする機会もあり「『日本に慣れた?』と聞いてくれたり、いろいろ母国語で話して楽しかった。日本で勉強し、進学して母国の人の助けになるのが夢。そのためのアドバイスをしてくれて、めちゃくちゃうれしかったです」と感激の面持ちで振り返った。

 安青錦本人も「最近ウクライナでも相撲をやっている子がすごく増えている。相撲だけではなく、スポーツをしている子たちに諦めないことが一番だと伝えたい。苦しい思いをしても、それを乗り越えればその先にいいことがある」と故郷にエール。母国の期待を一身に背負い、まずは大関への返り咲きを果たすつもりだ。