【取材の裏側 現場ノート】競技を続けたくても続けられない。大学時代、各競技に励む同級生から「卒業後も競技を続けたいけど、企業に所属しないと金銭的に厳しい」という話を耳にするたびに「何かしらの形で多くの選手がスポーツを継続できる環境ってないのかな」とぼんやり考えていた。

 スポーツ紙で記者になって4年目。取材側として選手と接するようになっても、大学卒業後のプランニングに頭を悩ます選手たちの姿を何度も見てきた。そんな中、関係者の紹介で出会った株式会社「テクノアーク」の甲賀和生社長が行う取り組みは、これらの悩みを解決する1つの手段になるのではと思った。

「アマチュアスポーツの選手が働きながら競技を継続すること、それ以前に生活すること自体が大変らしい」との話を聞いた甲賀社長は、競技と仕事を両立する手段を模索した。自身の企業に正社員として雇うことで、安定した給与を支給。それらを競技費や生活費に使用してもらうプランを打ち立てた。

 トップ選手はスポンサー企業からの援助をもとに、競技に専念できる。しかし、大半の選手はそこまでのレベルに達していない。ましては引退後、競技と全く違う仕事に携わるパターンがほとんどだ。「テクノアーク」は建築設備・プラント設備に関するエンジニアが多数在籍する企業。甲賀社長が「図面の書き方だったり、業界のことを知ってもらって、手に職をつけてもらいたい」と明かすように、普段の仕事を通じてセカンドキャリアの育成も両立していく方針を示している。

 体育会系の選手ならではの特徴にも期待を寄せる。甲賀社長は「体育会系の礼儀など、そういう部分やはり需要がある。あとは当たり前ですけど、ルールをしっかり守ってできる。体力もありますからね」と力説。仕事柄、社外の関係者と接する機会が多いため、大きなメリットとも言えるのだ。

 現在は競技団体と話し合いを重ねつつ、大学生向けの説明会を実施するなど、準備を進めている段階。近い将来には、1人でも多くの選手が気軽に競技を続けられる環境が当たり前になってくれることを願っている。(五輪担当・中西崇太)