野球評論家の門倉健氏が立浪竜の逆襲を〝予言〟した。今季6年ぶりの最下位に沈んだドラゴンズだが、中日OBで元二軍投手コーチでもある門倉氏は「来季は中日が台風の目になる」と断言。涌井秀章(36)が加わった投手陣は球団史上屈指のレベルにあると分析した。

【迷わず行けよ 門倉健】阿部とのトレードで涌井が加入したことは中日投手陣にとって非常に大きいと思います。右のエース・柳は横浜高校の先輩でもある涌井の加入に刺激を受けるでしょうし、若い投手は涌井のような経験豊富な投手から学ぶことも多い。投手陣にとってすごくプラスになる人材が入ってきたなと感じます。

 涌井はセ・リーグでプレーするのは初めてなのでそこがどうなるか。自分もセからパ、パからセに移った時に打者の傾向が全然違って戸惑った経験があります。データにはないものを自分の肌で感じなければいけない。それでも3球団で最多勝を獲得した実績を持つ涌井なら十分に対応できると思っています。

 涌井が加わったことでベテラン、若手それぞれが刺激し合い、高め合っての相乗効果も期待できる。中でも期待が大きいのが高卒2年目の今季、6勝を挙げた高橋宏です。彼が新人で入ってきたとき、僕は二軍投手コーチだったのですが、非常にポテンシャルの高い投手だと感じてました。背も高く(186センチ)角度のある球を投げることができる。150キロ台の速球に加えてコントロールにもばらつきがない。いろいろな武器がある。将来的にすごい投手になると思いましたね。

 性格的にも向上心があって自分でこれが足りないと思ったものを克服していく考えも持っている。本当にプロ向きの投手です。あとは経験と投げるスタミナがつけば10勝は軽くできる投手。10勝で満足せず15勝以上を目標にやっていってほしい。将来、ドラゴンズを背負って立つ投手になれると思います。

 先発陣には涌井、大野雄、柳、小笠原、高橋宏と2桁勝てるポテンシャルを持った投手が5人そろっている。彼らがしっかり投げればこの5人だけで50勝挙げることも可能だと思います。今季6勝を挙げた松葉もいる。短い間隔での登板も可能な彼はキーマンになるかもしれません。他にも野手から投手に転向した根尾やドラフト1位ルーキーの仲地、故障からの復帰が期待される梅津ら楽しみな投手がいる。根尾は野手の経験があるので打者心理を読み取ることができると思いますし、期待度も高い選手ですから周りに与える影響力の大きい投手になるんじゃないかなと思います。

 僕が中日で投げていたころには川上、野口、山本昌さん、今中さん、武田さんとパッと名前が出てくる先発陣がそろっていましたが、今の中日もそういう感じになってきた。リリーフ陣も祖父江、清水、ロドリゲス、R・マルティネスと抜群の安定感がある。ドラゴンズの歴史の中でも今の投手陣のレベルはかなり高い。ヤクルトが最下位から2年連続優勝してますが、そういうことも可能なんじゃないかなと思います。来季はドラゴンズが台風の目になると思います。