巨人は2日、広島・長野久義外野手(37)のトレード獲得を発表した。FA入団した丸佳浩の人的補償で2019年1月に広島へ移籍して以来、5シーズンぶりの電撃復帰となる。チームは今季5年ぶりのBクラスに沈み、補強戦線でも苦戦が続く。暗いムードも漂っていた中、突然吹き込んだ懐かしいラテンの香り。巨人ファンが待ちに待ったスターが帰還する。
G党が愛した〝背番号7〟が東京ドームへ帰ってくる――。交換要員がいないというところも、また長野らしい。秋季キャンプ中の宮崎で対応した原監督は「いろんなものがいいものとして、彼(長野)もジャイアンツも出てくるといいでしょうね」と語った。
しかし「ジャイアンツに帰ることはない」とまで口にしていた男の復帰が実現したのはなぜか。振り返れば、2019年1月の広島移籍は衝撃的だった。当時、海外自主トレ中だった長野の「選手冥利に尽きます」というコメントは野球ファンの涙を誘ったが、移籍直前の18年は116試合で打率2割9分、13本塁打、52打点を記録するなどバリバリのレギュラー。本人は口にしなかったが、複雑な心境は伝わってきた。
「僕がジャイアンツに戻る可能性? ないでしょうね。引退しても…」。移籍1年目、直球の質問に真顔で答えたのを思い出す。身も心も、赤く染まろうとしていた。巨人では禁じられていたヒゲを伸ばし、初対戦ではグラウンド上のあいさつも控えた。
ただ骨をうずめる覚悟で加入した広島ではベンチを温める日々が続いた。その間、古巣では先輩の阿部、亀井が引退。村田も栃木でユニホームを脱ぎ、原監督に〝枢軸〟と呼ばれた選手は坂本だけになった。折に触れ、盟友である主将の孤独も伝わっていた。「いるべき場所はどこか…」。揺れる思いは年々、増していった。
広島は来季から新井新監督の元、ガラリとチームが生まれ変わる。低迷した4年間、戦力として貢献したとは言い難く、カープには申し訳ない思いもあるはずだ。一方で、本人の中では一定の役目は果たしたという実感もある。広島側も長野の思いは汲み取っていた。鈴木本部長の「一人の野球選手の人生を考えたときに、やっぱりこの形が一番良いんじゃないかな」との言葉がすっと入る。「両球団の思惑が一致」はその通りだが「本人の思惑とも一致」がトレードの正解だろう。
受け入れた原監督にとっても長野はずっと〝特別な選手〟だ。父の故貢氏から「辰徳、長野はいい選手だ。大事に育てろよ」と言われたことを忘れていない。背番号7は広島移籍のあの日以来、空いている。「あの当時にくらべると、ほとんどの人が後輩になる。それ(長野の復帰)は刺激になるでしょう。やっぱり他球団の飯を食った人ならば、いろんな意味で、いろんな形でいいものとして出してくれるとね」。かつての〝枢軸〟に新たな期待も寄せる。
注目はやはり背番号。急な決定により球団内で調整中と聞く。巨人にはできるならば、今回も「7」を与えてもらいたい。そして一日も早く、東京ドームで〝夢の弾道〟を描いてもらいたい。













