ハロウィーン本番を迎えた10月31日、東京・渋谷や大阪・ミナミでは多くの人でにぎわった。さまざまな仮装をした人々がノリノリで練り歩いたが、29日に韓国・ソウルの梨泰院で起きた事故を意識して警察が各所に配置される超厳戒態勢。毎年のようにハロウィーンに人が過剰に集まる状態に、渋谷センター商店街振興組合事務局の小野寿幸理事長は「あれは変態仮装行列ですよ!」と激怒した上で、突発的なテロを危惧した。

 韓国・ソウルにある梨泰院で155人が死亡(うち日本人2人)、負傷者152人が出る大惨事が発生した直後とあって、厳戒態勢で行われた渋谷のハロウィーン。午後7時を過ぎると徐々に渋谷駅前のセンター街は人であふれ、流れに乗らなければ通行するのも困難な状況に陥った。

 人気の仮装は日本でも流行した韓国ドラマ「イカゲーム」のマスクをした人と、人気アニメ「スパイファミリー」のキャラクター・アーニャの格好をした人たち。なかには上半身セーラー服で下半身はTバックという、ほぼ下着姿の女性もいて、すれ違った男性たちから「おぉ~」と声が上がり、写真をねだられる場面もあった。

 全体的に外国人と女装をした男性の姿が目立ったが、ミニスカポリス姿の20代男性は「今はジェンダーレスの時代ですよ」と女装する理由を説明。一方、仮装をしていない10代女性4人組のグループは「仮装するにも衣装が高くなってなかなか買えない」と話し、こんなところにも物価高の影響が…。梨泰院での事故直後だったが、「怖くて両親にはハロウィーンに行くとは言ってない」という。

 29~30日同様に“DJポリス”も出動して大きな混乱は避けられたが、条例違反やマナー違反は至るところで発生した。あるツワモノはセンター街のど真ん中の交差点付近で堂々と放尿。また、ある者は渋谷区が28~31日の3日間、路上飲酒を禁じているにもかかわらず、制服姿の女性たちにお酒の一気飲みのコールをかける姿も見られた。

 ハロウィーンの仮装を楽しむ場所というよりは、ナンパ会場と化していた渋谷センター街。小野理事長に話を聞くと、「渋谷に集まってきている人たちがやっているのはハロウィーンじゃない。あれは“変態仮装行列”ですよ。必要以上に露出したりナンパばかりして、挙げ句、酔って車をひっくり返したり店を壊す。渋谷のイメージを悪くするだけで大迷惑です」と怒り心頭だ。

 さらに渋谷では警視庁の雑踏警備のおかげで梨泰院のような事故は起こらないとしつつも、「これだけ過剰に人が集まると、突発的なテロが怖い。バッグにガソリンを忍ばせてスクランブル交差点にまいて火をつけたら、誰が対応できるのか?」と指摘。昨年、京王線で「ジョーカー」の格好をした男が都内を走行中の電車に火をつけた事件を持ち出し、近年、世界中で増えている“ローンウルフ型テロ”の可能性を危惧した。

 新型コロナ禍が一段落し、多くの若者たちが羽を伸ばした今年のハロウィーン。警視庁の警備もあって大きなトラブルはなく終了したが、見えないリスクは常に付きまとっている。