【取材の裏側 現場ノート】元日本代表10番、MF中村俊輔(44=横浜FC)が18日、現役引退を発表した。1997年に横浜Mに入団すると、22歳でMVPを獲得。その後はイタリア1部レジーナ、スコットランド・プレミアリーグのセルティック、スペイン1部エスパニョールでもプレーした。また、世界的なFKキッカーとしても注目されるなど、一時代を築いた。
本紙記者が初めて俊輔を取材したのは神奈川・桐光学園高3年生だった1996年のこと。当時、V川崎(現東京V)担当だった記者は「中村俊輔が両親とともにヴェルディのクラブハウスに来ていた」との情報を得た。すでに高校を卒業する97年から下部組織に在籍していた横浜Mへの入団が内定したと伝えられていただけに「逆転でヴェルディ入りか」と鼻息を荒くして取材した。
しかし、V川崎の幹部たちに俊輔について聞くと「どうかな? ここに来たのかな。わからないね」など、かわされて思うような成果が得られない。そこで日本ユース代表(現U―19代表)として首都圏で合宿中の俊輔に話を聞くため、遠征先に乗り込んだ。練習終わりに直撃し「なぜヴェルディに行ったのか。横浜Mには入らないということか」と単刀直入に疑問をぶつけた。
すると、俊輔は少し困ったような表情を見せて「クラブハウスまで行ったのは、スカウトの方の顔を立てたからです。すごく熱心に誘ってもらったんですけど、僕はマリノスに入ることを決めたので。それを伝えると、スカウトの方から『一度でいいので、社長に会ってくれないか』と言われたので。それでお断りするために行っただけ」と答えてくれた。
さらに「ヴェルディの社長室に通されると、あいさつをする前に社長から『ここに入ったね。この部屋に足を踏み入れたってことは、ウチに来てくれるってことでいいんだよね』とか言われたんです。行かないって話になっているのに、そんなこと言われて(苦笑い)。結構しつこく『入ってくれるんでしょ』って同じような話になって。それで『熱心に誘っていただいたけど、申し訳ありません』と言って帰りました」と〝真相〟を語ってくれた。
結局「スクープ」とはならなかったが、記者はようやく事情が判明してすっきり。ヴェルディがどうしても獲得したかった大物はプロ入り後、日本サッカー界をけん引する大活躍したのは誰もが知るところだろう。今後も指導者としての躍進を期待したい。(サッカー担当・三浦憲太郎)












