【前田日明(最終回)】最初のころ「THE OUTSIDER」では乱闘騒ぎとかよくあったけど、回数を重ねるごとに出場者にスポーツマンシップが徐々に芽生えていった感じはあった。2年目の2009年3月には両国大会をできるようになったからね。

「THE OUTSIDER」に出た選手の中で一番有名になったのが朝倉未来、海の朝倉兄弟。確かにあの2人が出てきた時は、異質な感じがあったよ。一枚抜けてるいいやつらが入ってきたなって。でも、あの兄弟に匹敵する素材は本当はいっぱいいたね。

 彼らは「RIZIN」に「行きたい、行きたい」って言ってたんだけど、俺は未知の強豪とやらされる要員で潰されかねないと思っていた。だから「ちょっと待て」って17年から韓国の総合格闘技団体「ROAD FC」に出したんだ。韓国では格闘技一本では食えないからUFCとかに出ることを考えて世界標準の練習をしてる。

 何世紀にもわたって肉食ってる連中だから、力だけは海外の選手と変わらないくらいある。そういうところで、もまれたら日本に戻ってきても修斗なんかの上位クラスには負けないだろうなと思ったから行かせたんだよね。2人とも1回ずつ負けたのかな。あの経験は決して無駄になってないと思うよ。

「THE OUTSIDER」は地下格闘技みたいなイメージあるかもしれないけど、とんでもなくて、プロとの対抗戦もやってた。やるたびにちゃんと、その選手の課題をつけたマッチメークをつくってたんだ――。

 今の格闘界に言いたいのは、もっと選手を育てるマッチメークをしてもらいたいってこと。だってさ、ちゃんとUFCとかベラトールの王者を呼べるんだったらいいよ。でも呼べないでしょ。この間の那須川天心と武尊の試合にまでなったら変わるんだろうけど、あんなの、そうそうできない。だったら選手のレベルを上げるしかない。育てるマッチメークって拮抗した実力でやらないといけないから判定が多くなったり面白くならないこともあるから、難しいんだけど。でもレベルが上がったら試合も面白くなるわけだからね。

 天心―武尊は日本の格闘技が盛り上がるキッカケになったと思うよ。でもそれに続くネタがない。パンクラス対DEEPとかやったらいいのに。修斗も入れて対抗戦をね。

 スポーツイベントは事業体系を刷新する過渡期を迎えている。隆盛するか潰れるかのどっちか。俺は「THE OUTSIDER」の復活を考えているところ。大会OBにビジネスで大成功してるヤツがいてスポンサードしたいと言ってくれている。面白そうな話が進んでいるから、また前田日明の新しい挑戦をしていきたい。
(終わり)

 ☆まえだ・あきら 1959年1月24日生まれ。大阪市出身。78年8月に新日本プロレスでデビュー。84年に第1次UWFに参加後、88年に第2次UWFを旗揚げ。91年にはリングスを立ち上げた。99年2月に「霊長類最強の男」と呼ばれたレスリング五輪3連覇のアレクサンダー・カレリン(ロシア)との一戦で現役を引退。その後も海外との人脈を生かして数々の強豪を招聘した。2008年3月からアマチュア格闘技「THE OUTSIDER」を主宰。192センチ、現役当時は115キロ。