【前田日明36】ビッグマウス・ラウドのスーパーバイザーだったころ(親会社の)ビッグマウス社長の上井(文彦)から、九州で面白い大会があるから「見に行かないか」という話があった。九州制覇した暴走族の総長が改心して会社をつくって、元気があり余って社員の子分とケンカをしてしまう。そのガス抜きのために格闘技の試合をやってるって言われたんだ。
実際に見に行ったら面白かった。技術はないんだけど選手一人ひとりに華があってさ。でもこういう大会を東京でやるかとなった時、乱闘騒ぎで会場の備品を壊されたり、ケガ人が出るのが怖くてできなくなるなって思ってたんだよね。
でも俺自身も(2006年12月に)結婚して子供が生まれた時、人生を振り返ってみたら「プロレスに入ってなかったら本当にやばかったな」って思ったんだよね。高校生(大阪・関西大北陽高)時代に西成で「ノックアウト強盗」と間違えられてお巡りさんに追いかけられて、怖い人にかくまってもらったことがあったんだよ。
そこから交流ができてメシを食わせてもらったりして「卒業したら面倒を見てやるからウチに来い」って。なんか仕事でもやらせてもらえるのかと思ったんだけど、プロレスに出会ってなかったら、しがらみ上そっちの方に連れていかれても全然おかしくなかったんだよね。そんなことも思って、不良少年の更生であったり、世間への恩返しも考えてアマチュア格闘技大会「THE OUTSIDER」をやろうと思って2008年3月にスタートさせたんだ。
成功すればスポーツ界全体の底上げにつながると思っていた。海外って刑務所上がりとか少年院上がりでも有名になったプロアスリートがいっぱいいるじゃん。ボクシングのマイク・タイソンだったり、バスケットボールのデニス・ロッドマンだったり。でも当時の日本では格闘技のジムなんかでも、入れ墨が入ってるだけで入れてもらえないとか結構あった。だから俺が受け入れ先として大会をやろうと。
みんな最後のプライドの砦(とりで)は暴力だから、それを守るためなら努力するじゃん。人生って何が一番大事かっていうと、自分が何かしなきゃいけない時に努力できるかできないかなんだよね。「THE OUTSIDER」に出続ければ、みんなそうなれるだろうなと思ったから。努力し始めたら夜の街に出掛けなくなって更生もするじゃん。
それともう一つ、決心した大きな理由としては、よくよく考えたらリングス・オランダみたいなヘビー級の不良小僧たちを率いてやってたことを思い出したんだ。あれができたんだから、日本の不良を相手にできないことはないだろうと思ったんだよね。












