1日に死去したアントニオ猪木さん(享年79)は、異種格闘技戦シリーズで各界の王者たちと激闘を繰り広げた。元猪木番記者が燃える闘魂の〝昭和〟を振り返る第5回では、猪木さんが選んだ異種格闘技戦のベストバウトを紹介――。
1980年代の終わりに猪木さんと本紙・芳本カメラマンの3人で、米ロサンゼルスにあったジョージ土門さんのお宅にお邪魔したことがあった。
土門さんといえば、93年に成田空港で拳銃密輸が発覚し、実刑をくらったことで知られる(密輸は猪木さんの指示と土門さんは主張。猪木さんは否定)。また、79年の猪木さんとレフトフック・デイトンの異種格闘技戦のレフェリーを務めたこともある。
その土門さん、もともとは武道家で、猪木さんの米国武者修行中に何かとサポートした方だ。同時に猪木さんの大ファンで(もちろん裏切られる前の話)、試合のビデオを大量に保有していた。みんなでとりあえず異種格闘技戦のビデオを見ようとなったのだが、いい機会なので猪木さんにこう聞いてみた。
「猪木さんが思う異種格闘技戦のベストバウトはどれですか」
モハメド・アリ、ウィリエム・ルスカ、ウィリー・ウィリアムス…。誰との戦いを挙げるのか。猪木さんはちょっと考えてからこう答えた。
「モンスターマンかな」
猪木さんの数ある異種格闘技戦の中でも屈指の名勝負と評価されるモンスターマン戦。猪木さん自身も、やはりお気に入りだったようだ。
「見てみろよ、あの足の動き。手のように自由自在に動くだろ。本当にすごいよ。あんなことできるのは、あいつだけだ」と言いながらビデオに見入っていた猪木さん。
「他の見ますか。いろいろありますよ、アリとかレフトフック・デイトンとか、ウィリーとか」と聞いてみたが、猪木さんの返事は「いや、いい」だった。(元プロレス担当・吉武保則)












