圧巻の試合運びだった。柔道の世界選手権初日(6日、タシケント)、女子48キロ級決勝は、角田夏実(30=了徳寺大職)がカタリナ・メンツ(31=ドイツ)を下し、2連覇を達成。残り2年を切ったパリ五輪の代表入りへ、アピールに成功した。

 最大のライバル・渡名喜風南(27=パーク24)は、準々決勝で敗戦。それでも、最後まで角田の集中力は切れなかった。ともえ投げと関節技を随所に繰り出し、初戦の2回戦から4試合連続で一本勝ちを収めると、決勝も序盤から積極的に攻撃を仕掛け、合わせ技で一本勝ち。日本勢金メダル第1号に輝いた。

 夢舞台へ一歩前進だ。学生時代は五輪を「テレビに出るような選手が戦う場所」と考えていた角田。しかし、社会人になって心境が変わった。結果を残さない限り、柔道を続けられる保証はない。「悔いのないようにやろう」と一念発起し「もしかしたら今日の練習が最後になるでは。この試合に負けたら次がない」との思いで猛練習を重ね、世界の猛者たちと対等に渡り合う力を身につけた。

 ただ、現実は甘くなかった。東京五輪の代表は渡名喜に譲り、その渡名喜は銀メダルを手にした。もう同じ思いはしたくない――。4月の全日本選抜体重別選手権では渡名喜に敗れたものの、今大会に向けて寝技はもちろん、立ち技にも磨きをかけ、柔道の幅を広げた。「ここでしっかり勝ち切ってつなげていきたい」。大会前の誓い通り、己の柔道を貫いて頂点を勝ち取った。

 次は自分が五輪に出る。悔しさを力に変えた角田が、確かな存在感を示した。