【取材の裏側 現場ノート】元大関琴奨菊の秀ノ山親方が1日、東京・両国国技館で断髪式を終えた。一昨年11月場所の引退から約2年。力士の象徴であるまげに別れを告げ、いよいよ本格的に指導者としての道を歩み始める。将来の目標は独立して部屋を構えること。秀ノ山親方は「ゲストルームをつくって、弟子の親御さんがいつでも泊まりに来られる部屋にしたい」と構想を語っている。

 実現すれば、角界では異例の試み。その狙いは単なる〝おもてなし〟にとどまらない。秀ノ山親方は「力士になって強くなるためには、厳しい稽古に耐えないといけない。親御さんに(稽古や指導の様子を)見てもらって、理解を深めてもらうことが大事。そこから信頼関係が生まれる。まずは、お互いが信頼できる環境づくりをしていきたい」と意図を説明した。

 言うまでもなく、大相撲には「格闘技」の側面があり、稽古で肉体や精神を厳しく追い込む過程は避けて通れない。その半面、いまだに世間から誤解されがちな部分もある。稽古の基本中の基本、ぶつかり稽古の一つを取ってみても、目的を知らなければ理不尽な〝しごき〟と受けとられかねない。普段は離れて暮らす家族だからこそ、きめ細かなフォローが欠かせないというわけだ。

 秀ノ山親方が弟子に求めるものは「闘争心」と「親孝行」。その指導理念を実現するための挑戦を見守っていきたい。

(大相撲担当・小原太郎)