3画面のインパクトで“革命”を起こす! ファミリーマートが導入を進めている大型液晶を使ったデジタルサイネージ「FamilyMartVision(以下ファミマビジョン)」が話題を呼んでいる。流通ウォッチャーの渡辺広明氏(55)も「これまでもデジタルサイネージに取り組んだコンビニはあったが、初めて可能性を感じている」と興奮を隠さない。いったい何がすごいのか核心に迫った。

「ここまでコンテンツに対して集客があることを予想していませんでした。でもふたを開けてみたらSNSでも想像以上の反響をいただいて、メディアとしてもかなり期待できるんだなと手応えを感じています」

 こう話すのは、デジタルサイネージの設置とコンテンツ配信を手がける株式会社ゲート・ワンの松岡豪氏。同社はファミマとその親会社である伊藤忠が設立した新会社だ。

 全国に約1万6600店舗を構えるファミマには1日約1500万人が訪れる。これまでコンビニ各社は店内放送で消費者に働きかけてきたが、ファミマは既に3000店にデジタルサイネージを導入済み。23年度中に設置可能な全店への設置を目指し、従来の店内放送がファミマビジョンに置き換わる見込みだ。

「まだ3000店なので全体への影響はそれほどではありませんが、デジタルサイネージで広告を配信している店舗では、宣伝した商品が、平均して5~15%売り上げアップしています。テレビCMを打たない商品でもレジ前で映像をご覧になったお客様が当日、または次の来店機会に購入してくれるといった好循環も生まれています」(松岡氏)

 なぜ期待以上の効果が出ているのか、渡辺氏が歴史を踏まえて解説する。

「これまでもレジや店頭ガラス面に液晶を設置するデジタルサイネージはあったんです。でもインパクトが強くなかったから結果もいまひとつだった。ところがファミマビジョンは42~65インチのディスプレイを横一列に3面配置していや応なく視界に入ってくる。そこに老若男女に刺さるコンテンツを持ってきたのだから鬼に金棒ですよ(笑い)」

 ファミマビジョンでは15秒単位で番組と広告が次々と流れていく。中でも好評なのが、かわいい犬と猫が映し出される「わんにゃんお宅訪問」だという。「もともと幅広い層の方に楽しんでいただけるコンテンツと考えていましたが、『ウチの子を出してほしい』と問い合わせをいただくほど。今のところ公募はしていないのですが、うれしい限りです」と松岡氏も“招き猫効果”にニッコリだ。

 横長の画面を存分に生かしたオリジナル番組が「真横からスポーツ」。第1弾はプロ野球を引退したハンカチ王子こと斎藤佑樹氏のピッチングを真横から撮影し、迫力あるストレート、フォーク、カーブの3球種の軌道が楽しめるというココにしかない映像が反響を呼んだ(※放送は今月末まで)。

斎藤佑樹氏の投球が話題を呼んだ「真横からスポーツ」
斎藤佑樹氏の投球が話題を呼んだ「真横からスポーツ」

 ほかにも人気お笑い芸人が超ショートネタを披露する「最高の27秒」や人気Vtuberの周防パトラ、因幡はねる、龍ヶ崎リンが登場する「クイズ!いま何か通ったんですけど?」など番組のラインアップは幅広い。次のコンテンツへと飛ぶようなスピードで切り替わっていくのはまるで人気動画SNS「TikTok」を見る感覚に近いかもしれない。

「SNS拡散の跳ね具合は注視しています。Vtuberは本当にファンの方が熱くて、どの店舗にデジタルサイネージが設置されているか有志の方がまとめていただくなど熱量を感じます」(松岡氏=※現在はゲート・ワン社HPから設置店舗を検索可能)

 人気カバーソングユニット「ぷらそにか」のオリジナルコンテンツを聴きたいがために店舗を訪れるZ世代も続出。普段からテレビを見ず、スマホやタブレット視聴に慣れた若者にとっては逆に3画面で見られる圧倒的映像に大きな喜びを感じるのだ。

 放送される内容は朝、日中、夜、深夜の4つの時間帯、また首都圏、関西、中部・北陸、沖縄、全国と5つの地域によって広告を出し分ける取り組みにも着手している。

「サイネージの設置は(店舗の)日販にも効果があるし、広告収入も設置料として加盟店さんにお返しできるような仕組みになっている。地域性もさらに効果を見極めつつローカル化を進めていきたい」(松岡氏)

 これまでの店内放送がラジオだったとすれば、ファミマビジョンはテレビと言っても過言ではない。

 渡辺氏は「画面が1台だったらここまで消費者の目を奪うことはできなかったから、思い切って3台による大画面にしたことが勝ち筋。今後はより一層、地域密着の役割が高まると思うが、コンテンツの質とクオリティーをどう担保していくかが課題だろう」と推測した。

 ファミマビジョンはとがったメディアであり続けられるのか、今後に注目だ。

 ☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。フジテレビ「LiveNewsα」レギュラーコメンテーター。