GⅠ級のヒットとなるか――。ファミリーマートが「ウマ娘プリティーダービー」とコラボしたキャンペーンが大きな反響を呼んでいる。流通ウォッチャーの渡辺広明氏(54)も「新規のお客様のみならずリピーターも呼び込むのでは」と期待を隠さない。“大物コラボ”が実現した背景とは何だったのか、キーマンを直撃した。
日本フランチャイズチェーン協会の発表によると、国内のコンビニ大手7社の2021年の売上高は前年比1・1%増の10兆7816億円。初の減少に転じた20年より増えたものの来店客数は前年を下回った155億7720万人で、コロナ禍以前の19年と比較すると約11%減っていることが明らかになった。
「たかが11%と思われるかもしれないが、パイが大きいコンビニ全体で見ると約19億人のお客様が店舗に行かなくなったことを意味している。コンビニ各社はいかにしてお客様を呼び込むかという課題に直面しています」と解説するのは渡辺氏。
そんな中、ファミリーマートが今月15日からスタートさせた「ウマ娘プリティーダービー1周年キャンペーン」に熱い視線が注がれている。その理由は何なのか?
「コンビニ×キャラクターコラボの歴史は古く、1990年代にはハローキティやポケモンが大当たりしました。ただ大手コンビニの中でもローソンが子会社にローソンチケット(現在はローソンエンタテインメント)を持つ強みからアニメやゲームのコラボでは一歩抜けていたのです。たとえば三鷹の森ジブリ美術館のチケットはローソン独占販売ですし、『鬼滅の刃』もローソンが手がけた。だからこそファミマとウマ娘の組み合わせに驚いた人が多いのです」(渡辺氏)
もはや多くの説明は不要かもしれないが、「ウマ娘プリティーダービー」(株式会社Cygames)は実在する競走馬の名前と魂を受け継ぎ、ウマの耳と尻尾を持つウマ娘たちの新人トレーナーとなり、二人三脚で夢の実現を目指すという育成シミュレーションゲーム。1300万ダウンロードを突破するなど空前のヒットを記録している。過去にコラボレーションフードを発売した例もなく、まさに“大物コラボ”を実現させたキーマンに話を聞いた。
「弊社ではコンテンツとのタイアップが少ないという課題があり、そこをクリアしていくために昨年3月、マーケティング本部の中にイノベーション&アライアンス推進部が設けられました。新しいお客様に来ていただけるために旬なコンテンツを探し、ウマ娘にアプローチしたのは春先でした」と振り返るのはアライアンス推進グループの神山知之マネジャー(46)。
自身もウマ娘の育成と研究に取り組み、「これはただのソーシャルゲームじゃない」と痛感したという。
「ゲームだけでなくアニメもあるので女性ファンも多いし、声優さんも注目されている。また、競馬ファンには競走馬がモチーフになっている親しみもあって非常に多くの方に興味を持っていただけるのではないかと思い、おにぎりやサンドイッチ、デザートに菓子などジャンルを横断した全13品となりました。弊社の中では大きなキャンペーンと言っても過言ではありません」
Cygamesから作品と親和性や納得感のある商品アイデアを受けたファミリーマートは、おいしさを追求し、ウマ娘たちへの愛を詰め込んだ商品を開発させた。
一例を挙げれば、「メジロマックイーンのやる気UPスイーツ」(290円)は、プリンに北海道産生クリームをブレンドしたホイップクリームを添え、オレンジ、黄桃、イチゴ、スティック状のチョコレートなどゲーム内に登場するアイテムイラストにかなり近づけられるように努力があったという。
キャラクターとのコラボが成功する秘訣はファンの気持ちに寄り添うこと。24日に1周年を迎えるウマ娘とともにファミマが流通業のターフを駆け抜ける。
☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。著書に「コンビニが日本から消えたなら」(KKベストセラーズ)。












