【広瀬真徳 球界こぼれ話】パ・リーグの優勝争いが混沌としている。
各チーム残り15試合前後にもかかわらず、11日時点で上位3チームが0ゲーム差で、首位から5位までもわずか5ゲーム差。どのチームにも優勝、CS進出の可能性が残る一方、2チームが4位以下に沈むという、まれに見る大激戦である。
近年のパ・リーグはシーズン終盤まで優勝、CS争いがもつれる傾向にあったものの、5球団がここまで拮抗するのは珍しい。最終的にどこが抜け出すのか。当該チームは気の抜けない戦いが続くが、この大混戦の盛り上がりを今後のポストシーズンまで維持するためにも「あのルールはもう廃止すべきではないか」と最近強く感じてしまう。選手、スタッフに義務づけられている「コロナ定期スクリーニング検査」である。
各チームは今も全選手、スタッフを対象に毎週1回程度のPCR検査を行っている。目的は感染者の早期発見に加え、クラスターの未然防止であることは言うまでもない。チーム内で一度クラスターが発生すれば、選手の大量離脱やチーム活動停止が待ち受ける。その点を考慮すれば高熱や咳などの有症状者へのPCR検査は有効だろう。
だが、一般社会を見渡せばやや趣は異なる。コロナが未知の感染症だった2年前と比べ、現在の感染者は軽症、無症状が大半を占める。実際にここ1か月以内に陽性判定を受けた選手の症状を見ても軽症、無症状が圧倒的に多い。この状況下で全選手、スタッフにこれまで通りの定期検査を行い、陽性者をあぶり出す必要があるのか。市中感染も少しずつ収まりつつある現況を鑑みれば、旧態依然の定期検査は少しやり過ぎ感が否めない。感染対策を徹底したうえで今こそ緩和、廃止すべきではないか。
先日、優勝争いを続けるあるパ・リーグの球団職員がため息まじりにこう嘆いていた。
「そもそも現在のプロ野球界には『何人感染者が出たらチーム活動休止』といった明確なルールがない。その状況下で、今仮にスクリーニング検査でウチのチームから無症状の陽性者が大量にあぶり出され隔離されたら、NPBは選手、チームに何らかの保証、配慮をしてくれるのでしょうか。選手にとってこの時期の離脱は一時的でも死活問題ですし、チームにとってもペナントの行方を左右しかねない。そう考えると症状がある人以外の検査はもうやめてほしい。これが現場の本音ですよ」
NPBとサッカーのJリーグは先月末、一昨年から続く新型コロナウイルス対策連絡会議を開催。その席でスクリーニング検査の見直しを検討していく姿勢を見せていたが、いまだに緩和や廃止には至っていない。これでは陽性判定を受けて強制隔離される無症状の選手があまりにもかわいそうである。
選手、チームだけでなく熱い戦いを楽しみたい野球ファンの足かせにもなりかねないこの定期スクリーニング検査。今後のポストシーズンを円滑、公平に進めるためにも関係各所には早急な対応を願うばかりである。
☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。












