オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第105回は「鮎狐(あゆぎつね)」だ。

「鮎狐」は鮎が大好きな狐であり、釣り人を化かすなどいたずらを行う。釣り人を眠らせ、そのすきに鮎を食べてしまうという。その鮎はことごとく頭だけ残されたとされる。

 投稿者が、かつて鮎釣りに行った。なかなかいいポイントであり、友釣り用の鮎をしこたま買い込み、勇んで釣りを始めた。成長した鮎は川底の石に付着したコケを食べる。いいコケが生える場所を確保するために縄張りを作る。鮎の友釣りとは、釣り針を仕込んだおとりの鮎を釣り竿で巧みに誘導し、その縄張りに入れ、おとりの鮎を追い払うために体当たりしてきた鮎を針に掛けるという釣りである。

 すると、入れ食いのように鮎が釣れる。これはすごいと喜んでいると、突然、おとりの鮎の首から下がなくなっていることに気づいた。いつの間にか鮎狐にやられたのであろう。

 それにしても、特定の魚に固執する妖怪は珍しい。