【広瀬真徳 球界こぼれ話】食料品やエネルギー価格の高騰により物価高が続いている。

 長引くコロナ禍に加え中国でのロックダウンやロシアのウクライナ侵攻もあり今や身近な日用品は値上げばかり。ふと気づくと数日前の値段から値上げされていることも珍しくない。

 この流れは球界でも同じ。先日、試合前に球場内売店に夕食の弁当を買いに行ったところ100円程度だったが価格が変更されていた。「たかが100円」かもしれないが旧価格を知る庶民にはこの値上げがどうしても気になってしまう。

 飲食店だけではない。物価高に合わせるように応援グッズなども高騰が止まらない。選手名や応援メッセージが描かれているフェースタオルは現在1枚1000円超が当たり前。受注生産の限定タオルともなれば1枚5000円以上に跳ね上がることもある。購入はあくまで買う側の判断。該当商品に価値があると思えば買えばいい。「高すぎる」と思えば買わなければいいだけのこと。

 ただ、このままグッズや物販の高騰が続けば確実に球場観戦の敷居は高くなる。現時点でも夫婦と子供1人の家族が内野席で野球観戦すればチケット代だけで1万円はくだらない。グッズ購入、飲食代が加われば数万円の出費となる。これでは野球観戦が富裕層のための娯楽になりかねない。

 コロナ禍により苦しい経営を強いられる球団は少しでも収益を上げたい。その一環で本拠地球場ではVIP席や付加価値を付けた個室を拡充する動きが目立つ。経営側としては当然の試みだろう。だが、一般のファンが気軽に来場できなくなればチームの活気は自然と衰退し、グッズの売り上げも低迷する。その結果、ファン離れを加速させてしまう恐れもある。現に一部球場では観客の人数制限が撤廃されたにもかかわらず、スタンドには空席が目立ち始めている。この光景は悲哀を感じさせる。

 無料で限定ユニホームを配布したり飲食を格安で提供する日を設けるなど来場者向けサービスを行う球団は多い。ただ、そのサービスもファンに球場に来てもらわなければ始まらない。

 グッズや物販の売り上げのカギはやはり一般庶民の購買感覚。球団側にはその視点に立った運営や価格設定を忘れないでもらいたい。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。