ヒザの痛みに悩む中高年は多い。その原因として挙げられ、毎年90万人も発症しているというのが変形性ヒザ関節症。ヒザ関節の軟骨が傷ついて炎症が起こり、痛みが生じるのだ。放っておくと生活に支障が生じるまでになる…とお伝えしたのが先週。今回は、治療法や予防法を見ていこう。

「治療法は、大きく分けて薬物療法、手術療法と運動療法です。病状と、手術後どうなりたいのかによります。薬物療法は内服薬や外用薬が主です。ヒアルロン酸を注入して関節を保護することもあります。装具療法などもありますが、進行した場合は、手術せざるを得ません」と、木場整形外科(東京都江東区)長谷山繁子院長は説明する。

 手術では骨の変形を矯正するか、もしくは人工関節に置き換える。最近は人工関節の耐久性が上がってこの手術が増えており、2~3週間の入院で費用はおおむね200万円前後、3割の保険適応でも60万~70万円かかる。ほかに最新技術の再生医療もあるが、保険が利かないため高額だ。

「中では、運動療法が一番大事というのが整形外科の常識です」(長谷山院長)

 運動療法は医師の指導によって行うが、筋力を維持して日常の動作がスムーズに行えるようにする。運動をしなければ容易には治らないし、また容易に運動ができるようにならなければ治ったとは言えないのだ。

 そんな変形性ヒザ関節症は何より予防が大切だ。予防というと「サプリを飲んでいるから大丈夫」などと思っている人もいるが、運動不足が大敵。運動しなければ、サプリの効果どころか逆に筋肉が鍛えられないため、前回紹介した悪いスパイラルに陥りがちだ。

「ヒザを動かす大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛える予防策を早めに取ることです。もちろん肥満であれば減量すべき。ヒザを冷やさず、温めて血行を良くすることも心がけましょう。正座を避けるのもいいことです」(長谷山院長)

 予防に効果的な運動はいろいろ推奨されているが、中でも長谷山院長がオススメなのは自宅で簡単にできる「ヒザ体操」である。毎日少しでも継続してやれば、筋肉が付いてきて動きやすくなる効果的な大腿四頭筋のエクササイズだ。

 ①まず床の上でヒザを伸ばす。座っても寝てもよい。ヒザを伸ばすようにしっかり力を入れる。

 ②足先を上に反らせ大腿四頭筋を収縮する。右ヒザと左ヒザを別々に運動させてもよいし、両足同時でもよい。

 ③その後、力を抜く。大腿前面をつかんでいると筋肉が収縮している状態では硬くなっているのがわかる。収縮と弛緩が正しくできているかどうかは、ヒザの皿でわかる。収縮時は動かないが、弛緩時はグラグラと動く。

 ④収縮を5秒、弛緩も5秒。10回ずつを1セット。朝晩2セットの運動をするのが望ましい。

 なお、インターネット上のユーチューブなどでもヒザ痛に効果的な種々の運動を見られる。参考にするといいだろう。

「誰もがヒザに痛みを抱えることはあります。若いから大丈夫とか、サプリを飲めば大丈夫などと思わずに、痛みを警告と受け止め、早めに対処すべきです」と長谷山院長は締めくくってくれた。