心配されていたことが起きてしまった。福島県の郡山地方広域消防組合によると11日午後11時26分ごろ、郡山市菜根4丁目で建物1棟が全焼する火事が発生した。この建物はかねて「ごみ屋敷」として知られ、住人とみられる男性が火事により死亡。ごみ屋敷をめぐっては周辺住民らの間で火災発生が懸念され、今春にはごみの強制撤去が行われていた。

 同組合によると建物は木造平屋建てでトタンぶき、トタン張り。12日午前1時12分ごろに鎮火したが、約51平方メートルが燃えてしまった。男性1人の死亡が確認され、警察の検視に回された。同組合の担当者は「住んでおられた方ではないか」と話した。

 TBSの電子版ニュースによると、警察は遺体について、火事になってから連絡の取れていない住人の無職平野昭太郎さん(74)とみて身元の確認を進めているという。

「郡山のごみ屋敷」は全国的にも報じられ、3月末には市が行政代執行によるごみの強制撤去が行われた。東北地方の地元メディアによる当時の報道では、ごみ屋敷問題での条例に基づく強制代執行は京都市に次ぐ全国2例目だった。

 撤去時には「火事が心配だったので、ホッとしている」という近隣住民の声も報じられたが、TBSニュースは近所の人の話として、その後もごみが集められていたと伝えている。まさに懸念が現実になってしまった。