〝疑惑〟のフライング判定にも動じなかった。12日の北京五輪スピードスケート男子500メートル(国家スピードスケート館)、森重航(21=専大)が「俯瞰力」で銅メダルを引き寄せた。
今大会は各競技で不可解な判定が相次ぐ中、メダル候補が登場する終盤でハプニングが起きた。14組の森重と最終15組のローラン・デュブルイユ(カナダ)がフライング。スロー映像を見る限り、2人ともピストルが鳴る前は静止していたように見えた。2回目は失格となる重圧を背負う中、最終組のデュブルイユは4位、新浜立也(高崎健康福祉大職)もスタートでのミスが響いて20位に沈んだ。
森重はラスト2組に登場した選手で唯一のメダルを獲得。1988年カルガリー五輪男子500メートル銅メダルの黒岩彰氏らを指導した専大の前嶋孝監督は「フライングを1回すると後がないので緊張度がすごく高まる」と前置きした上で「彼はどちらかというと500メートル全体を通して、どう滑るのかを考えている。(最初の)100メートルへの重きの置き方が、他の人より少し違うのかもしれない」と要因を分析した。
カギとなったのは、森重の卓越したコーナーワークの技術だ。前嶋監督は「森重にとって重要なのは全体。100メートルで競争するわけじゃない。500メートル全体で一番いい結果を出すには、自分は今100メートルをどのぐらいで行けば勝負できるかというものを彼自身が持っている」。実際に最初の100メートルは全体5位(9秒63)だったが、後半に加速。少々の出遅れは〝想定内〟の冷静なレース運びで、己の力を出し切った。
その森重は「4年後、8年後には金メダルを目指せるようやっていきたい」。日本の男子短距離陣に新たなエースが誕生した。












