未確認生物の中には凶暴なものや、都市伝説的な側面を持ち、その地域の人に語り伝えられているものもある。インドネシアのフローレス島に伝わる「エブゴゴ」もそんな未確認生物の一つだ。

 エブゴゴは森にすむ小柄で毛深い人間に似た生物だという。大きさは成長しても1メートル程度、太鼓腹と突き出た耳、長い手足をしており、猿と人間の中間のような体といえる。また二足歩行できるが、歩き方はおぼつかなく、雌は垂れた乳房をしているそうだ。

 エブゴゴの特徴の一つが旺盛な食欲だ。伝え聞くところによれば、彼らは雑食で、何でも口にする。森のものだけでなく人里に下りてきて、人が育てていた作物を食べてしまうこともあったらしい。また知能が高く、独特の鳴き声でコミュニケーションを取ったり、時には人間の言葉をまねることもあったそうだ。

 それでも人間とエブゴゴは付かず離れずの関係であったのだが、ある時、エブゴゴが人間の子供をさらって食べていたのを村人が目撃した。

 怒った村人はエブゴゴに火山のふもとにある洞窟へ行くよう指図した。そしてエブゴゴの群れが洞窟に入ったところで、村人は洞窟に火を放った。この時、エブゴゴは洞窟から森の奥深くに逃げていったとも、わずかな生き残りが人間に恨みを抱いて復讐を続けているとも言われている。

 エブゴゴの記録はかなり長く、18〜19世紀ごろまで目撃されていたという。しかし、オランダ人の入植が始まってから目撃例は減り、ここ100年はほとんど見られなくなっているようだ。

 未確認生物というよりは妖怪のたぐいに近いのかもしれないが、それにしては特徴などがはっきりと伝わっているという点がある。

 さらに、エブゴゴの話が伝わるフローレス島には、かつて非常に小柄な人類ホモ・フローレシエンシスが生息していたという事実がある。この小柄な化石人類が絶滅せず、生き残っていたものがエブゴゴだった可能性も考えられる。

 現在では目撃証言の途絶えているエブゴゴだが、彼らがまだジャングルの奥地で生きている可能性も捨てきれない。小柄な人型の未確認生物が人々の前に姿を現した時、我々は人類の新たな進化の例を目の当たりにするのかもしれない。