【取材の裏側 現場ノート】北京五輪が開幕した。新型コロナウイルスをはじめ、新疆ウイグル自治区や女子テニスの彭帥を巡る人権問題、外交ボイコットなど競技外の話題も多い今大会。〝逆風〟をよそに盛り上がる中国国内では、最大のスターとしてフリースタイルスキーの(アイリーン・グー=19)に注目が集まっている。

 谷は米サンフランシスコ出身で、米国人の父と中国人の母を持つ。19年、自身のSNSで中国籍を選択したことを明かし、中国代表として20年ユース五輪に出場。金2銀1の成績を収め、北京期待の星と話題になった。昨年のフリースタイルスキー世界選手権ではハーフパイプとスロープスタイルで金メダルを獲得。今大会はビッグエアを含めた3つの金メダルの期待がかかっている。

 技術はもちろん、華やかなルックスでモデルとしても活躍し、頭脳も明晰だ。小さいころからスキーと勉学を両立させ、昨年名門スタンフォード大学の入学試験では1600点満点中1580点で合格した。注目度はうなぎ上りで、中国移動(チャイナ・モバイル)など国内トップ企業に加え、ルイ・ヴィトンやエスティローダーといった海外トップブランドがスポンサーになった。収入はこの2年で1億元(約18億円)は軽く超えるという報道も。そのインフルエンサーぶりから「中国の大坂なおみ」と呼ぶ声もあるほどだ。

 裏を返せば、中国14億人の絶大な期待を一身に背負っている状態でもある。強大なプレッシャーをどうはねのけるのか。完璧すぎる19歳の勝負に目を向けたい。

(五輪担当・中村亜希子)