突然の腹痛に引き続いて下痢や血便、嘔吐が起きたら注意したい虚血性大腸炎。急に症状が出るため、予兆と言えるような初期症状がないという。主な原因や予防方法などを内科医の北村直人医師に教えてもらおう。

 ――虚血性大腸炎という病名は時々、耳にする程度ですが…

 北村医師(以下北村)何らかの原因で大腸への血流が悪くなり、循環障害が起こることによって生じる病気です。

 ――何らかの原因とは

 北村 高血圧や基礎疾患、糖尿病がある場合は虚血性大腸炎が起こる可能性があります。その他、脱水の影響もあると言われています。大腸は上腸間膜動脈という血管と、下腸間膜動脈という血管とで栄養されています。そのどちらからも影響されていると言われている場所があるのですが、その部分の動きが低下しやすくなっている場合にも虚血性大腸炎が起こる可能性は高いです。また、便秘の場合などに起きやすいとも言われています。

 ――今おっしゃった高血圧や糖尿病などのほかにも、動脈硬化が関係している病気を持っていることがこの病気の危険因子になるとも聞いたことがあります。それらの病気を持っている人と持っていない人では虚血性大腸炎の進行具合にはどのような違いがありますか

 北村 基礎疾患が起きていない場合に起こる虚血性大腸炎は、一時的なものが多いとされています。便秘や脱水などの影響で起きることが多いです。一方、動脈硬化の場合、重篤化しやすくなります。虚血性大腸炎は通常おなかの左側で起こりますが、基礎疾患がある場合は反対側でも起こることがあります。

 ――血性の下痢となったら虚血性大腸炎を疑って良いのでしょうか

 北村 可能性としては考えるべきですが、疑うほどではありません。というのも、他にもそういった症状が見られる病気はいくつかあります。感染性腸炎もありますし、あるいは下痢がたまたま起きていてあまりにも多かったときに切れ痔などが起きて出血してしまうなど。炎症性腸疾患と呼ばれているもので、潰瘍性大腸炎という病気やクローン病という病気も考えられます。

 ――なるほど

 北村 もし血性の下痢が出たら、何もない可能性もありますが、念のために病院を受診することをオススメします。例えば、痔だと思い込んでいたところ、炎症が起きていたということもありますし、大腸がんだったという場合もあります。大腸がんもまた下痢や便秘、出血という症状があり得ますので、そういったことも含めて検査も考えるべきだと思います。

 ――虚血性大腸炎の主な診察方法を教えてください

 北村 まず重要なのは患者様の話を聞くということです。どうして出血が起きているのか、典型的なのは、ある時急におなかが痛くなってそこから出血や下痢が始まったというパターンが多いと思います。きっかけとしては、お手洗いで踏ん張っている時とか、あとは脱水状態の時に睡眠中に急におなかが痛くなる方もいます。そのような症状の場合は比較的、虚血性大腸炎を疑うことが多いです。発熱や年齢も踏まえて診察していきます。下行結腸やS状結腸といった、好発部位(病変が起こりやすい部位)がありますので、そのあたりに痛みが出ていないかどうかも確認します。あとは肛門をチェックして痔がないかどうかを確認したり、おなかのエックス線写真を撮ることもあります。

 ――予防方法は

 北村 基本的には生活習慣の改善が大切です。脱水を避けるとか、便秘などお通じの状態を改善しておくこと。繊維質のものを摂取したり軽く運動したりするということも重要かと思います。基本的には動脈硬化を防ぐということが中心だと思いますので、食事や運動が重要になります。

 ☆きたむら・なおと 目黒の大鳥神社前クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院内科(消化器)に所属し、アルコールグループ、肝再生グループで研究。肝臓専門医などを取得後、放射線科に転科し、画像診断・放射線治療に。学位取得後、マウントサイナイ医科大学、ロンドン大学肝臓研究所で肝硬変・肝臓がんを研究。帰国後、がん研究所有明病院健診センター医長(内視鏡・画像診断)などを経て東京・目黒駅近くに内科・消化器内科・放射線科と健診を併設のクリニックを開院。