元女王の〝精神安定剤〟とは――。女子テニスのシリコンバレー・クラシックのシングルス1回戦(2日=日本時間3日、カリフォルニア州サンノゼ)で世界ランキング41位の大坂なおみ(24)が同51位の鄭欽文(中国)を6―4、3―6、6―1で下した。アキレス腱痛で、1回戦敗退となった5月の全仏オープン以来約2か月ぶりの実戦。次の4大大会・全米オープン(29日開幕)で完全復活を狙うが、DAZNテニス中継の解説者・佐藤武文氏に復調へのポイントを聞いた。
なおみスマイルが全開だった。第2セットを落としたが、最終セットで5ゲームを連取して初対戦の19歳を圧倒。相手の好打に拍手を送る気持ちの余裕も目立ち、試合後は「私が彼女よりも優れている点は、多くの経験を積んでいるということ。彼女の成長を見守るのが楽しみ」と4大大会優勝4度の貫禄を示した。
全仏オープン1回戦敗退後は左アキレス腱を痛めた影響で実戦から離れ、ケガの回復を優先した。約2か月ぶりの公式戦となったこの日は動きに不安を感じさせず、サーブから自滅する場面はほとんどなかった。佐藤氏も「ファーストサーブの成功率は48%でしたが、ダブルフォールトは2本のみ。(大坂は)復帰戦でダブルフォールトが多くて自分のリズムを壊してしまうこともあったんですけど、今回はそういうことも特にありませんでした」と指摘した。
昨年は会見拒否やうつ告白、試合中にラケットを投げる行為が見受けられ、メンタル面で低迷した。今年3月のBNPパリバ・オープンでは観客からヤジを浴びて試合中に泣き出してしまい、そのままストレート負けを喫したこともあった。だが、この日の大坂は課題のメンタル面で安定。これまでの〝マイナス要素〟を打ち消した要因は何だったのか。
佐藤氏は「彼女は今、西海岸に住んでいるんですよね。言ってみれば(大会会場の)カリフォルニアはホーム側。地元でやるということで大きなアドバンテージだと思いますし、だからこそ、(復帰戦に)この大会を選んだんだろうなと」と分析した。
実際、何度も客席から声援を受けており「試合後のインタビューで話していたんですが、高校時代からの親友やすごく仲がいい友人が何人も来ていたようです。やっぱり(自分を)分かってくれる存在がたくさんいることで、彼女自身リラックスできているんじゃないでしょうか」と、大坂が〝理解者〟に囲まれていることを挙げた。
7月にはウィム・フィセッテ氏とのコーチ契約を解消し、現在は暫定的に父フランソワさんの指導を受けている。大坂が「(父が)戻ってきてくれて本当にうれしい」と話すように、これも精神安定剤になっているかもしれない。
最大目標の全米オープンは東海岸のニューヨークで行われるものの、得意のハードコートで過去2度優勝と相性がいい。佐藤氏も「彼女は最初から100%というよりも徐々に上げていくことができますし、だからこそ(4大大会で)優勝できたという経験値を持っている。全米オープンに向けて上々のスタートになったことは間違いない」。このままメンタルの安定を維持できれば、3度目のVも見えてくる。












