負のイメージをはねのけた――。テニスの4大大会・全豪オープン女子シングルス決勝が29日に行われ、世界ランキング1位のアシュリー・バーティ(25=オーストラリア)が同30位のダニエル・コリンズ(米国)を6―3、7―6のストレートで下して優勝。44年ぶりに地元女子選手が全豪の頂点に立った。

 今大会は男子シングルス世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)の出場可否を巡り、大きな騒動が起きるなど、コート外での話題が目立っていた。しかし、地元選手が悪い空気を一変させた。決勝までオールストレート勝ちを収めてきたバーティは、この日の決勝も圧巻のパフォーマンスを披露。オーストラリア紙「ナショナルタイムズ」は「ジョコビッチの過大な自尊心と彼をメルボルンに受け入れようとした人たちの間違えた努力によって、大会は始まる前から変な盛り上がりを見せていた。だが、今大会はバーティの控えめで、エゴのないアプローチが国民の心をつかむカギになった。国民を元気づけた」を絶賛した。

 同国ラジオ局「ABCニュース」はバーティの優勝を速報で報道し「お母さんとお父さん、そして妹たちがここにいてくれて、本当にうれしいわ。私はこんなにたくさんの愛に包まれた、とても幸運で幸せな女の子です」と家族へ感謝の思いを伝えるコメントを紹介。さらに「オーストラリア人として、最も重要な部分は、多くの人とこの大会を共有できることだと思います。そして、今日の観客のみなさんは、特別な存在でした」と観客にもメッセージを送った。

 優勝しても変わらない謙虚な姿勢に地元ファンも大興奮。SNS上では「私はバーティが大好き」「バーティおめでとうございます」「別次元のバーティは全豪オープンの王者にふさわしい」と称賛が相次いでいる。

 4大大会で3勝目を挙げたバーティ。この1勝はオーストラリア国民にとっても大きな大きな1勝となった。