決勝進出・大坂なおみを称える準決対戦相手「彼女はテニス界で模範となる存在」

2020年08月29日 11時30分

大坂なおみ(ロイター)

【米ニューヨーク28日(日本時間29日)発】2つの戦いに勝った。女子テニスで世界ランキング10位の大坂なおみ(22=日清食品)が「ウエスタン&サザン・オープン」準決勝で同22位のエリーズ・メルテンス(24=ベルギー)を6―2、7―6(7―5)で撃破して決勝進出を決めた。黒人男性銃撃事件への抗議として一時はボイコットを表明するも、一転しての出場は批判も浴びたが、自分を貫き無言のメッセージを発信。黒人差別のイデオロギーにも勝利した。

 無観客のスタジアムに姿を見せた大坂は「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」の文字が入ったTシャツと、過去3戦とは異なる無地の黒マスクを着用。ボイコット表明後はSNSで一切発信をしなかったが、しっかりとメッセージを発していた。

 試合では第1セットは3度のブレークなどであっさり奪う。

 第2セットで第3、5ゲームでブレークされるなど4連続でゲームを落として劣勢になるも冷静。第8ゲームでブレークバックすると、第9ゲームでは8度のデュースの末にしのいでキープ。タイブレークの末、ストレートで勝利した。

 試合後、大坂は「少しストレスを感じていて、前夜はあまり眠れなかった」と明かし、「だからプレーできたことをうれしく思う。精神的に崩れなかったことが良かったんだと思う」と笑顔で話した。

 2日前の準々決勝で逆転勝利後、ウィスコンシン州で黒人男性が警官に銃撃された事件への抗議として準決勝のボイコットを表明。本来なら棄権となるはずだが、男女のプロテニス協会と全米テニス協会の3団体が大坂の行動に追随し、大会を1日中断する異例の措置を取った。

 このことで大坂はボイコットを撤回して準決勝をプレー。とはいえ、31日からは4大大会「全米オープン」が控えているタイミングでの日程変更は他の選手にも大きな影響を与える。一部からは「個人の主張で周りが迷惑する」「抗議行動をはき違えている」との批判も浴びたが、出場選手はむしろ大坂の行動を称賛。不戦勝の可能性もあったメルテンスは「彼女と試合ができてうれしかった。決断に敬意を表するし、彼女はテニス界で模範となる存在だと思っている」と話した。

 ボイコットという強烈な“けん制”でテニス界を動かし、差別の目にも勝利した大坂。「アスリートである前に黒人女性」という強い意志のもと、ビクトリア・アザレンカ(31=ベラルーシ)との決勝戦(日本時間30日午前0時開始)でもコートに立つ。