女子テニスの世界ランキング10位・大坂なおみ(22=日清食品)がいよいよ再スタートを切る。新型コロナウイルス禍によるツアー中断を経て、22日に開幕した男女共催大会「ウエスタン&サザン・オープン」(ニューヨーク)の2回戦から第4シードとして登場。約半年ぶりの実戦となるが、このタイミングでの再開はどんな意味を持つのか。

 今大会は4大大会の全米オープン(31日開幕)と同じ会場で行われる前哨戦。日本のエース・錦織圭(30=日清食品)は大会直前に新型コロナウイルスの陽性が判明して欠場となったが、大坂はツアー再開に向けて自ら新ラケットのデザインをプロデュースし「決意を新たに力強く挑めそうです」とやる気に満ちている。

 初戦の2回戦の相手は世界ランキング26位のカロリナ・ムホバ(24=チェコ)。大坂は「本当に長い間、試合ができなかった。これまで以上にここにいられることに感謝すると思う」と話すが、実際に半年以上も実戦から離れた。これについてDAZNテニス中継の解説者・佐藤武文氏(49)は「彼女にとってベストなタイミング。コロナがいい意味での“水入り”になったと思います」とプラスになるとみている。中断に入る前は最悪の状態だったからだ。

 大会連覇を狙った1月の全豪オープンでは3回戦で“新星”コリ・ガウフ(16=米国)にストレート負け。2月上旬の国別対抗戦フェド杯スペイン戦でも格下のサラ・ソリベストルモ(23)に惨敗を喫し、コート上で涙を流した。中断期間にメンタルをリセットしただけでなく、7月には元世界1位マリア・シャラポワ(33=ロシア)を長年支えた中村豊氏(48)を新トレーナーに迎え、「チーム大坂」も心機一転のムードとなっている。

 さらに佐藤氏は「サーフェス(コートの表面)の変化も見どころです」と指摘する。会場のビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターは40年以上も「デコターフ」というブランドのハードコートだったが、今大会から「レイコールド」に変更した。

「テニスボールもメーカーが違うとバウンドが微妙に変わるように、レイコールドになって違和感はあると思います。条件はみんな一緒ですが、彼女が最初にどんなプレーをするか。初戦はとても大事だと思います」(佐藤氏)

 米経済誌「フォーブス」が17日に発表した長者番付では、女子アスリート部門で史上最高の約40億円で1位に輝いた。一昨年に衝撃の4大大会初制覇を飾った全米オープンで再び世界の頂点に立つためにも、負けられない前哨戦となる。