競泳・鈴木孝幸 「複数種目で金が取りたい」メダルなしリオのリベンジ

2021年04月04日 10時00分

鈴木孝幸

【Restart パラヒーローズ その壁を乗り越えろ(29)】パラ競泳で金を含む5個のメダルを獲得した鈴木孝幸(34=ゴールドウイン)は、2016年リオ大会でまさかのメダルなしに終わった。一時は引退も考えたというが、ここにきて再びメダル圏内へ浮上。残り5か月を切った東京大会を前に、調子を上げている。

「保育園のときから普通にドッジボールをやっていたし、小学校に通うようになってからも体育の授業とか、みんなと一緒にやっていた」。鈴木は先天性四肢欠損で両大腿と右腕がヒジ下からなく、左手にも障がいを抱えている。それでも、周囲のサポートを受けながら、健常者と一緒に学校生活を送る活発な少年だった。

 そんな鈴木に転機が訪れたのは、高校1年の春だった。中学時代は吹奏楽部に所属しており「そのまま吹奏楽をやりたいなと思っていた」。ところが「小編成で、少し僕が思っていた感じと違った。でも、何かやりたくて、他に代わるものがないかなと思った」と再び水泳を始める。すると、いきなりコーチから「大会があるので出てみませんか」と誘われた。小学校時代は水泳部に入っていたとはいえ、競技者としては初心者レベル。しかし、静岡国体(2003年)のプレ大会でいきなり好タイムを叩き出した。新星の泳ぎはすぐさま関係者の目に留まり、翌年にはアテネ大会の200メートルリレーで銀メダルを獲得。さらに、08年北京大会50メートル平泳ぎ(SB3)で金メダルを手にするなど、パラ競泳界屈指のスイマーに成長した。

 だが、16年リオ大会はメダルなしに終わり「改善点があるなって気付いた。体幹部分の強化やターンのテクニックを磨いた」と基礎から見直した。その結果、自由形で自己ベストを更新。平泳ぎでも13年前の北京大会とほぼ同タイムを出せるようになり「これはいけるかな」と手応えをつかんだ。

 自国開催の大一番は、パラスポーツの魅力を伝える大きなチャンス。だからこそ「多くの日本人の選手が活躍して、またパラリンピックに興味を持ってくださる方も、それを機に増えてくれたらうれしい」と闘志を燃やす。
「複数種目で金メダルが取りたい」と意気込むベテランの復活劇から目が離せない。 

 ☆すずき・たかゆき 1987年1月23日生まれ。静岡県出身。先天性四肢欠損で両大腿と右腕ヒジ下がなく、左手にも障がいがある。15歳で本格的に水泳を始めると、2004年アテネ大会から4大会連続でパラリンピックに出場。08年北京大会50メートル平泳ぎ(SB3)では金メダルに輝いた。13年からは英国のノーザンブリア大に留学し、20年12月に同大大学院修士課程を修了。現在は博士課程に在学中。中学時代は吹奏楽部に所属していたこともあり、帰省時にはホルンを吹いて気分転換することも。

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