日馬暴行の情報錯綜の裏に同席力士たちの「勘違い」

2017年12月21日 16時30分

石浦

 元横綱日馬富士(33)による幕内貴ノ岩(27=貴乃花)への傷害事件の詳細は20日、日本相撲協会危機管理委員会の調査報告書が臨時理事会に提出され、明らかになった。貴ノ岩が暴行を受けるまでの経緯や、暴行を受けている最中の心境などが判明した一方で、ここに至るまで情報が錯綜した原因が、いくつかの「勘違い」だったこともわかった。

 事件発覚時から最大の焦点となっていたのが「凶器」の存在だ。最初に言われていたのはビール瓶で、その後はアイスピックやシャンパンボトルも浮上。最終的にはカラオケのリモコンと断定された。ただ、実はそこに至るまで酒席参加者の記憶はバラバラだった。

 部屋にビールはオーダーされていたが、グラスに注がれた状態で提供されていたため、ビール瓶はもともとなかった。シャンパンボトルは存在し、一度はつかんだ日馬富士の手から滑り落ちて割れたと前回11月30日の理事会でも報告されたが、実際に割れたのはソファに付属していたガラス板だった。シャンパンボトル自体は割れておらず、そこにアイスピックもなかった。

 貴ノ岩は自分が何で殴られたのかが分からなかったという。そこで帰り際、十両石浦(27=宮城野)に「何で殴られたのか」と聞いたところ、石浦は「ビール瓶とデンモク(リモコンのこと)」と答えた。だが、石浦自身は日馬富士が何で殴っていたか直接目撃したわけでなく、何らかの瓶を持って振り上げた直後にガシャンと音がしたため、貴ノ岩が凶器で殴られてボトルが割れたと思い込んでいた。これが誤った情報が流れる原因の一つとなった。

 ただでさえ誤解が生じやすい酒席に加え、日本語とモンゴル語が入り交じった部屋。そして、角界では「神」のような存在の横綱の行動を止めにくい雰囲気。真相解明に時間がかかったのも無理はなかった。