いったい、何をしているのか…。日本相撲協会を退職する意向を表明した貴乃花親方(46=元横綱)の代理人を務める弁護士が27日、東京・両国国技館を訪れ、退職に必要な書類を協会へ再提出した。ところが、25日に続いて書類上の不備が発覚。またしても差し戻される異常事態となった。貴乃花親方の退職と弟子の千賀ノ浦部屋への移籍は来月1日にも正式決定する見込みだが、その手続きをめぐってドタバタ劇が続いている。

 貴乃花親方は25日に代理人の弁護士を通じて協会へ「引退届」と弟子の「所属先変更願」を提出した。協会側は親方が退職する場合は引退届ではなく「退職届」が必要なこと、所属先変更願に移籍先の師匠である千賀ノ浦親方(57=元小結隆三杉)の署名と押印がなかったことを理由に受理しなかった。

 この日、貴乃花親方は代理人を通じて所属先変更願と引退届などに関する上申書を改めて提出した。

 ところが、またしても書類に不備があることが発覚した。この日に提出された所属先変更願には貴乃花親方と千賀ノ浦親方、それぞれの署名と押印があったものの、目を通してみると何かがおかしい。協会広報部長の芝田山親方(55=元横綱大乃国)によると「(貴乃花親方の押印が)真っ黒な、コピーしたやつだった」。

 なんと、貴乃花親方が署名と押印した書類の原本のコピーに、千賀ノ浦親方が署名を書き足して押印してあったのだ。芝田山親方は「相撲協会は公益法人。書式や書類はキチッとした形で提出していただかないと。今では会社も(社員が)LINEやメールで“辞めます”みたいな話もあるが、そういうものではない」と苦言を呈し、再び書類を差し戻したことを明かした。

 提出された書類の法的な効力は別にして、重要書類には当事者本人の署名、押印をした原本を提出するのが社会的に見ても通例。コピーでは認められないのは世間の常識だ。銀行口座の開設や不動産売買などの例を持ち出すまでもない。また、25日に提出した「引退届」に関しては上申書で「引退は退職のことであって『引退』という文字を『退職』と読みかえてください」と主張した。

 これも、退職届1枚を書き直せば済む話だろう。前出の所属先変更願を含めて、もはや貴乃花親方が退職や弟子移籍の手続きそのものに関心を失ってしまっている印象だ。しかし、協会が定める手続きを踏んだ上で理事会の承認を経なければ、弟子たちの移籍は正式に完了しない。それを最後まで見届けるのが、弟子を託す師匠としての最低限の責務のはずだが…。

 芝田山親方は「協会が書類を受理していない以上は(現在も)貴乃花親方の弟子。貴乃花親方が責任を持って弟子を管理しなければいけない」とクギを刺す。角界関係者も「もう協会を辞めた気になっているのでは」と首をかしげた。

 手続きは代理人に任せ、弟子は千賀ノ浦部屋に“丸投げ”同然。この日、貴乃花親方は部屋の前で取材に応じ、退職について翻意する可能性を否定した上で、今後については「これから別の形で貢献していければいいかな。小さなわんぱく力士もいるので、(角界に)入門していってくれる子を少しでも増やしていければ」と話した。

 心はすでに“第2の人生”に移ってしまっている様子。退職を表明した会見で協会から圧力があったと発言したことで、世間から同情の声を集めるが…平成の大横綱は最後までお騒がせを続けている。