〝悲劇〟は繰り返されるのか…。北京五輪でドーピング問題に揺れたフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(15=ロシア)が3月23日開幕の世界選手権(フランス・モンペリエ)に出場する可能性が浮上する中、専門家からは疑問の声が上がっている。日本反ドーピング規律パネル委員長でスポーツ仲裁裁判所(CAS)の仲裁人を務める早川吉尚弁護士は北京大会で出場を認めた裁定に〝重大欠陥〟があったことを指摘。その上で世界選手権出場には「NO!」を突きつけた。
ワリエワは昨年12月に採取された検体から禁止薬物トリメタジジンが検出された。CASは16歳未満であることなどを考慮して北京五輪への出場を認めたが、結果はフリーでミスを連発して4位。演技後は〝鉄の女〟エテリ・トゥトベリーゼ・コーチから「なぜ戦うことをやめたの?」と叱責され、涙を流した。
15歳の金メダル候補を巡る一連の騒動は世界に大きな衝撃を与え、元五輪選手などからは「出場させるべきではなかった」との批判が相次いだ。そのワリエワに、早くも世界選手権への出場が取りざたされている。
現在も世界反ドーピング機関(WADA)による調査が続く中、早川氏は「今回の裁定は北京五輪に限ったものではありません。将来的にワリエワ選手が〝クロ〟と判定されれば資格停止になって成績は全て無効になりますが、結論が出るまでは出場できる状態が続いているわけです」と現状を説明。つまり、ワリエワ側が望めば、どの国際大会も出場可能なのだ。
いったいなぜ、こんな裁定がなされたのか。かねて早川氏は「あのCASの裁定は間違っていたと思う。私が仲裁人だったら逆の判断をしていた」と主張しているが、その根拠は今回のCASの〝解釈ミス〟にあるという。
「暫定的資格停止の規定を読む限り、悪質な物質(トリメタジジン)の場合は無条件に停止となっている。要保護者(16歳未満)は除くという例外規定はなく、特別扱いするとの注釈もない。だからワリエワ選手を出場させるのは本来の趣旨に合っておらず、WADAも規定を読み間違えていると指摘しています」
例外規定が明文化されていないものの、CASは独自の解釈で出場を許可。それによって様々な〝悲劇〟を招いてしまったというわけだ。早川氏は「ワリエワ選手はドーピング疑惑と特別扱いへの反感という二重の苦しみを味わっている」と指摘した上で「世界選手権は出場するべきではないと思っています」と結論付けた。
ドーピングが違反行為であることは言うまでもないが、出場を許す側にも大きな問題がある。現状を放置すれば、さらなる悲劇を招くことは火を見るより明らかだ。












