早くも「札幌体制」へシフトチェンジだ。日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会および理事会が7日に行われ、JOCの組織改定を承認。新たな組織図には2030年札幌五輪開催を想定した〝裏テーマ〟が隠されていた。

 現在、札幌市は30年の冬季五輪の招致に立候補中。新型コロナウイルス禍で行われた東京大会で〝五輪の闇〟が浮き彫りになった経緯もあり、すでに一部から反対の声も上がっている。しかし、この日の評議員会で山下泰裕会長は「東京大会のレガシー」「オリンピズムの浸透」を口にし、JOCは迷いなく「2030」に突き進んでいる。

 その象徴が新しい組織図にあった。星野一朗専務理事は「かなりスリム化し、縦割りだった組織の横連携を良くする観点で変えた」と説明。多くの部門が統廃合され、総務本部は「オリンピック・ムーブメント事業本部」に改称されたが、一番のポイントは「国際委員会」の設置だ。これまで旧総務本部の下に「国際専門部会」として存在していたが、今回の改編で専門委員会の一つに昇格した。

 ある理事は「札幌五輪を視野に入れた〝格付けアップ〟ですよ。オリンピック・ムーブメントを盛り上げていく取り組みの一貫」と明かす。また、すでに30年を見据えて小学生をターゲットに人材発掘を開始した競技団体もある。

 東京五輪では反五輪の逆風が吹いたが、すでにJOCは〝どこ吹く風〟のようだ。