国際オリンピック委員会(IOC)委員で世界陸連のセバスチャン・コー会長(64)は東京五輪が中止となった場合、存続できないスポーツ競技が出てくると警告した。

 7月に開幕する東京五輪は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で医療関係者を中心に各方面から開催に疑問の声が出ており、すでにボランティアは約1万人が参加を辞退する異常事態。各種世論調査では約8割の人々が中止や延期を求めているが、それでもIOCや組織委員会、日本政府は五輪開催へと突き進んでいる。

 そんな中、英紙「デーリー・エクスプレス」によると、コー会長は各スポーツ競技が今後も存続するためには資金が必要なため、東京五輪の開催は不可欠と強調した上で「ここ(資金面)には非常に繊細な生態系が働いており、これらの提供がスポーツの性質を根本的に変える可能性があります」と話したという。

 東京五輪が中止となれば、テレビ放映権料や各種スポンサー権料など収入減となるため、各競技団体への分配金も少なくなる。オリンピック競技の多くが危機的な状況に直面するとし「彼らの何人かは(コロナ禍となった)1年半の間、非常に少ないイベントで本当に苦労しています。そのうちのいくつかの競技が実際に消えるのではないかと心配しています」と訴えた。

 さらに競技がなくなれば、世界的にも悪影響を及ぼす可能性があるとし「もしいくつかの競技が消滅すれば市民(スポーツ)参加率に非常に大きな波及効果をもたらし、世界中の政府が遅かれ早かれ目覚めさせたすべてのもの、つまりコミュニティーの健康とフィットネスに影響を与えるだろう」と指摘した。

 世界的にも五輪開催には否定的な意見が出ている中、正当性を主張したと言えるが、果たして無事に開催できるのだろうか。