2日に衆院議員の資産報告書が公開され、平均2892万円で1993年の初公開以降、過去最低となった。議員の懐事情が厳しくなっているようにも見えるが、さにあらず。さまざまな手段で“資産防衛策”を張り巡らせているのだ。なんと衆院議員465人中、「資産ゼロ」が70人にも上る。東大法学部卒で大蔵・財務官僚から政治家に転身し、華々しく活躍する希望の党の玉木雄一郎代表や、“政界のプリンス”自民党の小泉進次郎衆院議員も資産ゼロ。そのカラクリとは…。

 株式を除く預貯金などの金融資産と土地、建物を合わせた資産総額の平均は、前回(2015年)の公開時より571万円も減った。約30億円もの巨額資産を有した鳩山邦夫元法相が2016年に死去し、平均を約660万円引き下げたのが大きな要因だが、驚いたことに、衆院議員465人中、資産ゼロが70人にも上る。とても信じられないが…。

 ある議員秘書は「『政治はなにかとお金がかかるから、議員は貯金がなくて大変ですよ』なんてハズはありません。年収にすれば領収書がいらない文書通信費(年間1200万円)を含めて、約4000万円にもなる。立憲民主党の枝野幸男代表は預金132万円と発表されましたが、20年以上議員を務めて、本当にこれだけの貯金しかないなら、とても国の財政なんて任せられない。資産を極力少なく見せるために、普通預金口座や“タンス預金”でためこんでいるのです」と明かす。

 資産公開法では、普通預金は公開の対象外になっている。希望の玉木代表や自民党の進次郎氏はともに当選4回で議員10年目になるが、資産ゼロ議員。ちなみに鳩山邦夫氏の後を継いだ鳩山二郎氏の預貯金は“ゼロ”だが、ブリヂストン株を43万6000株保有し、その評価額は約20億円にもなる。

 各党トップの比較では、自由党の小沢一郎代表が2億1491万円、安倍晋三首相が1億396万円で1、2位となった。安倍氏は土地・建物の資産が約8000万円を占めたように、預金口座と違い、不動産は隠しようがないともいわれる。

「抜け道はあります。資産価値が高かったり、大きな土地を所有していれば、有権者にうらやまれますからね。不動産所有を隠すために、わざわざ親や妻、夫に名義を移したり、政治資金管理団体の名義にしたりと、あくまで“資産ゼロ”で庶民派をアピールしている議員もいますよ」(前出秘書)

 1993年から始まった国会議員の資産公開制度は、対象を議員本人に限定するなど抜け穴の多さが指摘されてきた。ザル法ともいわれる資産公開法のカラクリが分からなければ、資産公開のたびに有権者は「国会議員はつつましい」と勘違いするだけ。

 普通預金も開示する完全公開が求められるが、自分たちの首を絞める法改正に乗り出す気配はない。

 ほかに「ゼロ」議員は現職農水相の斎藤健氏や山尾志桜里氏ら、著名議員も少なくない。ちなみにトップは自民党の神山佐市衆院議員の9億3071万円だった。2位も自民党で、5億10万円の逢沢一郎元外務副大臣、3位は4億8682万円の麻生太郎副総理兼財務相だった。