【産業医の独りごと】41〜58歳の働き盛り男性には風疹免疫が少ない

2020年01月16日 10時00分

 風疹という病気をご存じかと思います。子供は発熱、発疹、首や耳の後ろのリンパ節が腫れて数日間で治ることが多いのですが、まれに高熱や脳炎になって入院などが必要になることも。もちろん大人にも感染し、成人のほうが重症化、長期化する可能性があります。この風疹の流行が今、社会的な問題になっているのです。

 理由の一つは、風疹は咳やくしゃみに含まれるウイルスによる飛沫感染が主で、ほかにもウイルスが付着した手で口や鼻に触れる接触感染が感染経路となりますが、インフルエンザよりも感染力が強く、熱や発疹などの自覚症状がなくても感染が拡大してしまう特徴があること。つまり、電車や職場など人が集まる場所で多くの人に感染させてしまうリスクがあるのです。実際に昨年8月には風疹に罹患する人が大都市圏を中心に急増しました。推定される感染源は職場が最多と報告されています。

 また、風疹は妊娠初期の妊婦さんが感染すると、おなかの中の赤ちゃんに影響し、医学的には高い確率で赤ちゃんが先天性風疹症候群という障害を持って生まれてくる可能性があることがわかっています。

 問題は働き盛りの中年男性が風疹への免疫が少なく、感染を拡大させやすい世代であるということです。これは、風疹の予防接種が導入された直後の時代に、女性だけに定期接種をしていた期間があるためと言われています。厳密には昭和37年4月~昭和54年4月生まれの男性、年齢でいうと41~58歳にあたります。

 会社でいえばまさに中心世代です。これらの男性に風疹の免疫力が低い人が多く、もしも職場で感染が蔓延したときの影響を想像したら…人ごとではなくキチンと予防対策をするべきだと感じていただけると思います。実際に国も力を入れていて、上記の世代の人たちには、無料で検査とその後の予防接種ができるクーポン券を順次発送していますので、軽視せずに必ず活用しましょう。そして、企業が健診にそれらの検査を組み込んだり、もしくは検査に行く人たちに配慮や優遇をしたりすることも強い支援になるでしょう。

 今年は東京五輪・パラリンピックもあり、人の動きが例年より多い年となります。ワクチン接種など、できる対策は取り、風疹の拡大予防に努めましょう。(都内事業所勤務・A男)