森保ジャパンに未来はあるのか――。東京五輪アジア予選を兼ねたU―23アジア選手権(タイ)で日本は1次リーグ敗退となり、森保一監督(51)の進退問題が浮上している。日本サッカー協会の田嶋幸三会長(62)は続投方針を打ち出しているが、世間の解任論は高まるばかりで今後の紛糾は必至。すでに後任候補の名前もささやかれ始めるなど、日本サッカー界は大きな岐路に立たされている。

 1次リーグ最終戦のカタール戦(15日)を前に2連敗で敗退が決定。日本がアジア内の戦いで決勝トーナメント進出を逃すという屈辱的な結果に終わった。日本は開催国として五輪出場権を持っているものの、今回の五輪アジア予選を兼ねた大会で、最低でも準決勝進出は期待されていただけに、ファンから更迭を求める声が高まっている。

 田嶋会長は「基本的にはサポートしていく」と続投方針を示した一方で「技術委員会でどのような議論が行われるか。全てに関することは技術委員会が決めるのがルール」と強調。2018年ロシアW杯前には技術委員会の方針を覆して、バヒド・ハリルホジッチ監督を解任したが、今回は委員会の意見を重視するという。

 その関塚隆技術委員長(59)はバンコクで、1―2で敗れたシリア戦(12日)も保持率やシュート数で上回ったことを指摘。指揮官の指導について「(フル代表と)兼任でやってもらいながら全体の方向性はできてきている。間違った戦い方をしているとは思っていない」と擁護し、田嶋会長と足並みを揃えた。

 ただ、選手交代に消極的な采配やイレブンの長所を生かし切れない戦術、指導への批判が噴出している現状を考えれば他の技術委員から異論が出ることは間違いない。

 また、協会の最高意思決定機関の理事会でも紛糾は避けられない。昨年11月のU―22代表のコロンビア戦での完敗、A代表のベネズエラ戦で4失点惨敗、同12月の東アジアE―1選手権では日韓戦にも敗れた。そして今回の屈辱的な敗退と弱体化は深刻。ファンからは総スカンでテレビ視聴率も1桁が続くなど、人気低迷も顕著だからだ。

 このままでは高額な契約金で日本代表の活動を支える各種スポンサーからも“圧力”が高まるのは確実。さらに協会内には、かねて兼任監督という役割に懐疑的な見方をする幹部もおり、指揮官交代を支持する世論の後押しを受けて「NO」を突きつける動きが加速しかねないだろう。

 日本サッカー界は森保監督を巡って緊迫した状況となってきたが、仮に更迭となれば後任候補は誰か。ロンドン五輪で日本を4強に導き、現チーム状況も把握している関塚委員長、J1川崎や名古屋を指揮した風間八宏氏(58)、イングランドの強豪アーセナルで監督を務めたアーセン・ベンゲル氏(70)らが浮上するとみられる。

 さらにJ1クラブ関係者からは意外な名前も出ている。代表監督を推挙する役割の技術委員長を務めているのが、元鹿島の関塚氏とあって「古巣とのつながりでジーコ(66)っていう手もあるんじゃないか」と指摘。06年ドイツW杯を指揮した代表監督で現在は鹿島のテクニカルディレクターを務める“神様”の再任もあり得ると分析した。

 日本サッカーの将来を左右する森保監督の去就について大きな波紋が広がっているが、今後、どんな結末を迎えることになるか。