【マスターズ】武藤&蝶野が自粛ムードのマット界に一石 このままでは業界が崩壊する

2020年02月29日 16時35分

レジェンドに囲まれた猪木氏(前列中央)は「ダーッ!」

 果たしてこれでいいのか? 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、プロレス各団体が興行中止などの対応を迫られるなか、武藤敬司(57)がプロデュースする「プロレスリング・マスターズ」は後楽園ホール大会(28日)を予定通り開催。武藤は大会強行の裏にあった葛藤と信念を明かした。またセコンドとして来場した“黒いカリスマ”蝶野正洋(56)も、プロレス界の置かれた現状を踏まえた上で、一律自粛ムードに疑問符をつけた。

 新型コロナウイルスを巡っては政府が3月中旬まで大規模イベントの自粛を要請し、新日本プロレスが11大会の中止を決めるなど各団体が対応に追われている。マスターズは会場内で感染防止対策を施し、チケットの返金も受けつけたうえで開催。スポーツ界全体で自粛ムードが広まっているだけに、賛否が巻き起こることは武藤も覚悟していたという。

 試合後に本紙の取材に応じ「ぶっちゃけ東スポだから言うけど、これだけ自粛やってたら、コロナで死ぬ人よりも経済が回らなくて自殺しちゃう人のほうが多くなっちゃうよ。まさしくエンターテインメントなんて一番最初に首絞められちゃったからさ」と現状への危機感を吐露した。

 もちろん観客の安全があってこその興行とした上で「今回は俺の判断に投げられたからやることにしたんだけど…。次も同じ状況に追い込まれたら、どう判断するのかは分からない。それくらい際どい判断だった」という。大会前には来場が決定していた師匠のアントニオ猪木氏(77)にも相談。「どっちでもいい。お前が決めなさい」と託され、「迷わず行けよ」の精神で開催した。当日までに約300件のキャンセルもあったというが「今の時点では、やってよかったと思いますよ」と振り返った。

 蝶野も大会開催を「英断」と表現した。政府の対応とプロレス界の現状を踏まえると「全中止」は現実的ではないと考えるからだ。「大手の新日本プロレスなんかは体力がある。ただ他のところは体力がなくなった時…職を失って、家族を食わせていけない。そういう時どうするのかは考えてあげないと」

 自粛要請の期間は約2週間だが、その後にすぐ再開できる保証もない。「無観客試合とか、そういう処置があってもとは思う。ただそれではどうにもならない団体があるというか、そっちのほうがほとんどだと思う」。中止一辺倒では業界が崩壊すると警鐘を鳴らす。出口の見えないコロナ禍にレジェンド2人の投じた一石は、マット界にどういった広がりを見せるのか――。